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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「(大勢は)そりゃあよく思ってないでしょう」ライマル獲得に大勢の本音は…槙原寛己が語る「菅野智之はメジャーでやれる、田中将大は巨人で良かった」
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph bySankei Shimbun
posted2024/12/21 11:02
セ・リーグ最多セーブ賞を獲得したライデル・マルティネスが加入し、来季は守護神争いに注目が集まる大勢
――入れ替わるように、楽天を退団した田中将大投手(36歳)の獲得が濃厚とされています。
槙原 みんなが注目する選手。また活躍できる場所をつくるという意味で考えれば、声をかけたことは大事だと思う。戦力として大きな期待はできないかもしれませんが、経験と実績はありますからね。
――ただ、昨季の登板はわずか1試合。獲得に否定的な声もあります。
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槙原 厳しいとは思います。でも今年は(昨年10月の)右肘手術の影響があったと思う。そこから1年、キャンプを経てどうなるか。手術の箇所が身体になじむというか、状態が戻ってくればまた輝いてくれるのかなという期待はありますけど。まあ、収まりは良かったんじゃないですか。球界をリードしてきた選手をあの形でやめさせてはダメだと、そこで牽引してきた巨人が手を挙げた。プロ野球としては盛り上がるでしょう。
――菅野投手に代わるリーダーとしての役割も期待されます。
槙原 中途半端な成績の選手ではないので、若手はリスペクトする。手本になる存在としてはいい。野球と向き合う姿勢みたいなものを見せてくれという思いは当然、ある。それに、選手というのは環境が変わると頑張れるんでね。坂本(勇人)ら同世代の存在もプラス。心機一転、新しい気持ちでやれるのはマー君にとってもいいことですよ。
「そりゃあよく思ってないでしょう」
――他にも中日の守護神ライデル・マルティネス投手(28歳)を獲得しました。槙原さんも現役時代は抑えとして活躍しましたが、現在クローザーを務める大勢投手(25歳)はどんな心理だと想像しますか?
槙原 そりゃあよく思ってないでしょう(笑)。おそらく8回・大勢、9回・マルティネスという継投になるのかな。自慢みたいになってしまうけども、難しいですよ。「抑え」にはプライドが絶対にあるから。
――プライド?
槙原 抑えることは一緒。でも、心持ちが違うでしょう。私は8回を投げたことがないから実体験としてはわからないけど「せっかくここまで実績を残してきたのに、そういうことするんだ……」って、へそを曲げたっておかしくはないでしょう? 特に大勢はルーキー時代から難しい局面を任されてきたわけで。
――大勢投手は日本代表としてプレミア12にも参加しました。その後、日程の都合で優勝旅行をキャンセルして練習に専念したそうです。
槙原 補強に対して思う部分はあるはず。まあ、力はありますから。どんな役割でも勝利の方程式に彼の力は必要。阿部監督や首脳陣の采配に期待したいですね。
〈つづき→捕手編も読む〉
槙原 寛己(まきはら・ひろみ)
1963年8月11日生まれ、愛知県出身。ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。プロ2年目の83年に12勝を挙げ新人王を獲得。当時の日本最速である155km/hを記録した。斎藤雅樹投手、桑田真澄投手とともに「先発3本柱」として90年代の巨人投手陣を支えた。94年5月18日の広島東洋カープ戦で、プロ野球史上15人目の完全試合を達成。その後28年間、完全試合の達成はなく、20世紀最後で平成唯一の達成投手となっている。98年の途中からはリリーフに転向。2001年に現役を引退。現在は、野球解説者として活躍中。