大学野球PRESSBACK NUMBER

ドラフト“史上最多6人指名”富士大のナゾ…39歳監督が語った“超独自戦略”とは?「地方・雪国・非名門」でも「逆に有利なんです」断言したワケ

posted2024/12/17 11:01

 
ドラフト“史上最多6人指名”富士大のナゾ…39歳監督が語った“超独自戦略”とは?「地方・雪国・非名門」でも「逆に有利なんです」断言したワケ<Number Web> photograph by JIJI PRESS

オリックス1位の麦谷祐介(右から3人目)ら6人が指名を受けた富士大。なぜ岩手の一大学からこれほどプロ選手が生まれたのだろうか?

text by

曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

PROFILE

photograph by

JIJI PRESS

 今年も大きな盛り上がりを見せたプロ野球のドラフト会議。中でも衝撃的だったのが、1つの大学から“史上最多”となる6人もの選手が指名を受けた富士大の存在だ。大都市とは異なる北国・岩手の地で、一体どんな育成が行われているのだろうか?《NumberWebルポルタージュ全3回の1回目/つづきを読む》

 はじまりは一杯の満州にらラーメンだった。

 岩手県花巻市、ランチタイムの「さかえや」本店。富士大学から徒歩で数分の人気店で、たまたま前列に野球部の1、2年生のグループが並んでいた。こちらの素性を明かして野球部の取材に訪れたことを伝えると、雑談のなかでオススメのメニューを教えてくれた。

「満にらはミックスがうまいですよ。メニュー表にはないんですけど、店員さんに“ミックス”って言えば伝わるんで」

ADVERTISEMENT

 ミックスとは、その名の通り醤油、味噌、塩の3つの味を混ぜた裏メニューだという。初めての店で裏メニューを頼むのもすこし気が引けるが、せっかくオススメしてもらったのだ。頼まないわけにはいかない。

 着丼。たっぷりのニラに、ニンニクの芽と豚バラ肉、そして刻み紅生姜が盛られている。緑と赤のコントラストが鮮やかだ。細縮れ麺に、クタクタのニラがよく絡む。これは、たしかにうまい。パンチのきいたピリ辛スープに、紅生姜の酸味が絶妙なアクセントになっている。もし近所にあったら、かなりの頻度で通いたい味だ。

 店内には富士大学OBの山川穂高(ソフトバンク)や外崎修汰(西武)のほか、花巻東高OBの菊池雄星(エンゼルス)のサインも飾られていた。地元の学生たちに愛される店に間違いはない、ということか。

「満にら、食べました? ああ、ミックスにしましたか。僕は味噌が好きですね。それにバラ味噌ミニ丼をつけるのが鉄板です」

 グラウンドに隣接した2階建ての部室棟で、富士大学野球部監督の安田慎太郎が出迎えてくれた。39歳の青年監督は「なんでも聞いてください」と朗らかな笑みを浮かべた。

ドラフト会議、1チームから「6選手指名」の衝撃

・オリックス1位 麦谷祐介(外野手/大崎中央高)
・広島2位 佐藤柳之介(投手/東陵高)
・ソフトバンク3位 安徳駿(投手/久留米商業高)
・広島4位 渡邉悠斗(内野手/堀越高)
・巨人育成1位 坂本達也(捕手/博多工業高)
・ロッテ育成3位 長島幸佑(投手/佐野日大高)

 今年のドラフト会議で指名された富士大の選手の一覧だ。ひとつのチームから6選手が指名されるのは、ドラフト史上初めてのことだった。加えて、東京六大学野球連盟や東都大学野球連盟に所属する大学ではないことが、この衝撃をさらに大きなものにしている。

【次ページ】 安田監督がリクルートで「重視する能力」とは?

1 2 3 NEXT
#富士大学
#安田慎太郎
#麦谷祐介
#佐藤柳之介
#安徳駿
#渡邉悠斗
#坂本達也
#長島幸佑

大学野球の前後の記事

ページトップ