「95％、監督業から引退する」J2降格・札幌を退任したミシャ監督の真意は？ 「J1指揮600試合」は見られないのか…直撃に語った「残り5％」の意味 

「結果はどうなるかわからないが、見る人を魅了する試合になることをお約束しよう」

　実際、試合は先行を許した広島が2−1と一時は逆転したものの、試合終了間際の89分に失点。延長戦で再逆転を許し、3−5で敗れた。ただ、タイトルを手にすることはできなかったが、120分間の激闘は名勝負として大会史に刻まれている。「当然悔しいが、ある程度の満足感もある」とは試合後の弁だ。

退任会見で語ったこと

　信念の人。ミシャをひと言で表現するならこうなるだろうか。

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　2024シーズン最終戦、ホームで臨んだ柏レイソル戦に1−0で勝ち切った翌日、ミシャは札幌市内で監督退任会見を開いた。7年間サポートしてくれたファン・サポーター、そしてわれわれメディアに改めて感謝の思いを伝えるためだった。

「7年間、札幌で監督を務め、札幌に関わるさまざまな方々と共に過ごしてきた中で、皆さんに多大なるご支援をいただき、素晴らしい時間を過ごすことができた。クラブスタッフ、パートナー、メディア、そしてサポーターの皆さんの支えがなければ、この7年という長い期間、仕事はできなかった。 

　私にとっても長い監督キャリアの中で最も素晴らしい時間をこの札幌で過ごすことができた。本当に心から感謝を申し上げたい」

退任会見で　©Kei Sato

札幌との特別な絆

　ミシャは事あるごとに札幌というクラブが「特別である」と話してきた。その理由は自らの仕事に対するリスペクトを感じるからだった。2018年、当時の野々村芳和社長（現Jリーグチェアマン）に求められて札幌にやってきたとき、条件として提示されたのは「攻撃的なチームにしてほしい」ということだった。「そのためなら降格しても構わない」との口説き文句に、クラブの覚悟を感じたとミシャはのちに語っている。

　自らの信念を表現するのに、札幌はベストなクラブだった。J1とJ2を行き来するエレベータークラブだった札幌で攻撃サッカーを浸透させ、実践しながら、7シーズンJ1に留まらせたことは評価されてしかるべきだろう。会見でも本人がその点に言及している。

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