「95％、監督業から引退する」J2降格・札幌を退任したミシャ監督の真意は？ 「J1指揮600試合」は見られないのか…直撃に語った「残り5％」の意味 

「よほどのスーパーな選手でもない限り、私のサッカーをすでに理解している選手や長くトレーニングしている選手よりも優先して出場させることは難しい。外国から日本にやってきて、すぐに活躍するのは簡単ではない。それこそスタークラスでなければ、難しいだろう。もっともシーズン途中にそういう選手を連れてくるバジェット（予算）があるクラブは限られる」

揺るがない哲学

　いつだって、そうだった。ミシャは自分の行動や判断に対する答えをしっかり持っていた。失点がかさみ、守備が崩壊した試合後に守備について質問したときには「攻撃と守備とを分けること自体がナンセンス。サッカーはサッカーだ」と返された。攻撃に問題を抱えるから守備にも問題が生じている。守備についてのみフォーカスするのは間違いとの返答だった。ミシャには、揺るがない哲学があった。

　自らを「変わり者」と称し、「私は他の人とは異なる世界観で生きている」とミシャは言う。「つまらないサッカーで1−0の勝利を得るよりも魅力的なサッカーを見せて4−5で負けるほうがいい」と言える人だ。ただ結果だけを求めるサッカーからは最も遠いところにいる監督と言っていい。

浦和レッズ時代　©Asami Enomoto

スペクタクルなサッカーを

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　その姿勢は最初にインタビューしたときから全く変わっていない。信条とするのは、スペクタクルで見る者を魅了するサッカーをピッチに描くこと。お金と時間を使ってスタジアムに来るファン・サポーターに満足して帰路についてもらいたい一心で、これまで監督業を続けてきた。

　今から14年前、広島の監督だったミシャはジュビロ磐田とJリーグカップ決勝を戦った。大一番を翌週に控えたタイミングで行ったインタビューで、ミシャは言っていた。

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