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「渡邊雄太が話したとおり」選択肢は“八村塁と決別”でも“ホーバスHC退任”でもない…関係者が推すバスケ日本代表の“修復”に最適な人物とは?
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byZUMA Press/AFLO
posted2024/11/29 11:02
発言が話題を集めているロサンゼルス・レイカーズ八村塁(26歳)
ある関係者からは、八村の母校でもあるゴンザガ大の元ACで、今夏にU-19アメリカ代表のHCを務めたトミー・ロイドを推す声が届いている。Bリーグに目をやると、千葉ジェッツのトレバー・グリーソンHC、シーホース三河のライアン・リッチマンHCといったNBAの元ACたちも魅力的な指導者に見える。
あくまで個人的な意見だが、筆者にもアイデアがある。ニューヨーク・ニックスの吉本泰輔コーチこそがテコ入れに適任かもしれないと感じている。
シカゴ・ブルズ、デンバー・ナゲッツ、ミネソタ・ティンバーウルブズのスタッフを歴任した吉本は、現在はニックスのACとしてNBAの第一線で活躍してきた。ニックスの知将トム・シボドーHCから絶大な信頼を勝ち取り、今夏まで4年連続でニックスのサマーリーグHCも務めてきた知恵袋である。
「大阪で生まれ、日本で育ったが、アメリカに来たかったので勉強して大学からこっちに来た。コーチングを勉強しようと思い、どうせやるのであればトップのNBAを目指したいと思ったのがきっかけ。幸運にもいろんな出会いと助けもあって、NBAに入ることができて、かれこれ15年。これからもっともっと良いコーチになって、成長し、勉強していければと思っている」
そんな謙虚な吉本自身の言葉が示す通り、アメリカで叩き上げたキャリア、真摯な人柄、確かな指導法ゆえにニューヨークでの評価も抜群に高い。もちろん英語と日本に堪能な上に、関西人特有の明るくフレンドリーな性格もあって、既存のスタッフに途中加入してもすぐに馴染めそうなのも好材料。NBAとの日程調整が課題になるが、それさえ都合がつけば、八村、渡邉との関係が良好なことまで含め、混乱しつつある日本代表に加えるのにこれ以上の人材は想像できない。
ただ、救世主はいない
吉本にせよ、他のコーチにせよ、ここで名前を挙げた新たな人材を登用しても“救世主”にはならないのだろう。それでもコミュニケーションを強化することはできる。現在のJBAと日本代表に最も欠けているように思える部分のアップグレードに日本バスケットボールが着手してくれることを期待せずにはいられない。
繰り返しになるが、全体的に見れば日本バスケは確実な上昇機運にあると思えただけに、対応をこれ以上間違ってはならない。的確に人材起用し、八村とホーバスが間に誰かを介してでも対話できるような方向に進めば――今からでも、このピンチをチャンスに変えることは不可能ではないはずである。