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「渡邊雄太が話したとおり」選択肢は“八村塁と決別”でも“ホーバスHC退任”でもない…関係者が推すバスケ日本代表の“修復”に最適な人物とは?
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byZUMA Press/AFLO
posted2024/11/29 11:02
発言が話題を集めているロサンゼルス・レイカーズ八村塁(26歳)
一般的に八村対ホーバスHC的な構図になってしまった感があるが、当面の事態収拾のために“どちらかを取る”といったオプションが生産的だとは思わない。日本バスケのさらなる強化を目指す上で、母国が産んだ最高の才能である八村の代表復帰を諦めるなどといった選択肢はあり得ない。それと同時に、発表されたばかりのホーバス体制が後戻りをすべきだとも思えない。
ホーバスはすでに男女両方の日本代表チームを率いて一定の実績がある。国際舞台での日本の活躍を振り返り、“たまたま、いい選手が揃っただけ”という意見にも簡単には賛同しかねる。組織と権威を大事にする日本人の国民性を考慮するまでもなく、ロサンゼルス五輪に向けたチーム作りを開始したばかりの指揮官をここで変更するような方向性を選べば失うものも多いように思える。
そういった意味で、やはり“選択”ではなく“修復”が今後の焦点となるべきなのだろう。そこで考えられるのは新しい人材の登用だ。
ズレを埋めるコーチが必要?
ホーバスの功績も認めた上で、一部の日本バスケットボール関係者からは「ホーバスは優れたモチベーターではあっても、細かく戦術を落とし込む策士というタイプではない」という声も聞こえてきている。一連の八村の言葉の中でも、最も具体性を持って響いてきたのはこの部分だった。
「(ホーバス体制では)世界レベルの練習の仕方ではない。ミーティングもそうだし、フィルム(映像セッション)のやり方も世界レベルではないんじゃないかと思う」(八村)
練習の場にいたわけではない人間が断言すべきではないが、ホーバスにも足りない部分があると考えている選手、関係者がいるのは確かなことのようだ。
特に今の日本バスケは間違いなく向上し、持ち前の組織力とハードワークに活路を見出すだけではなく、八村、渡邊、河村といった世界の戦場を肌で知る人材が増えてきている。アメリカのカレッジやGリーグでプレーする富永啓生、ジェイコブス晶、川島悠翔らまで含め、海外に羽ばたく若者がこれから先も出てくるのだろう。だとすれば、日本と世界の橋渡しができる人材、従来の日本バスケとアメリカのズレを埋めるコーチが必要ではないか。
具体的には、ホーバス、八村とも十分に話し合った上で、NBAの常識や通例を知る人間をアシスタントコーチ(AC)として登用してはどうだろう?
現スタッフにもNBAで選手、ACの経験があるコーリー・ゲインズがいるが、現場がここまで拗れた現状では新しいチカラの注入はマイナスにはなるまい。そんな変化をもたらせば、論争を呼んだ当事者たちだけではなく、これからも日本代表に期待を寄せたいファンに良好なメッセージを送ることにもなるはずだ。