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日ハム・五十幡亮汰はなぜ“ドラフト2位”指名だった?「あれだけの足があるのに…」 記憶に残るスカウト評 プレミア12で代表大抜擢「ホントの理由」
posted2024/11/24 11:06
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
JIJI PRESS
侍ジャパン「プレミア12」のメンバーに選ばれた時には、「アッ」と思った五十幡亮汰(外野手・日本ハム)が、代走で、また「9番ライト」で活躍している。
五十幡といえば「足」、快足といえば五十幡で、中学時代に陸上200メートル走と100メートル走で、あのサニブラウン・アブデルハキームの記録を上回った事実をとり上げて、「サニブラウンに勝った男」と報道され、佐野日大高(栃木)→中央大で話題になった選手だ。
確かに当時、東都六大学のリーグ戦でも、その韋駄天ぶりはキラリと光り、特に外野の長打コースに弾き返した打球で、一塁を回ったあたりからの走りっぷりといったら、まさに「狂気」をはらんだ超・快足であった。
五十幡選手の頃の「東都」には、ほかにも、亜細亜に矢野雅哉(現・広島)、田中幹也(現・中日)、東洋大に佐々木俊輔(現・巨人)などなど機動力勝負のスピードスターが居並んでいたが、その中でも頭一つ抜けた快足ランナーが五十幡亮汰選手であった。
おそらくは、その「スピード」を高く評価されての「プレミア12」メンバー入りなのだろうが、10日のチェコ戦で、いきなり二盗、三盗をきめておいて、二ゴロの間にすばらしいロケットスタートで生還。その快足ぶりを見せつけて、存在感というのか、存在意義というのか……「男・五十幡、ここにあり!」と、のろしを上げてみせた。
記憶に残る大学時代の五十幡「スカウト評」
そんな報道に接しながら、思い出したことがある。
五十幡選手の中央大学時代だ。一緒に神宮のネット裏でリーグ戦を見ていたスカウトの方の「見解」が妙に印象に残った。
「五十幡って、あれだけの足があるのにブンブン振っていくでしょ。打ち損じもあるし、実際にフライも多い。もったいなくないですか? まあ、そのへんが未知の魅力ってことなのかもしれないけど、足を生かして、ゴロや低い打球を打つなりしたほうが得だと思うし、相手だって嫌じゃないですかね」
「オレは足だけじゃないんだ」というメッセージなのか、「オレは足だけの選手で終わりたくないんだ」という叫びなのか。確かに、学生時代の五十幡選手は、かたくななまでに、フルスイングに徹した実戦を続けていた。