核心にシュートを!BACK NUMBER
「テトリス、DLしたよ!」“海を越えた愛”は大谷翔平夫婦だけでなくサッカー日本代表も「ピアノを…」DF町田浩樹と妻に聞く“結婚までの交際”
posted2024/11/24 11:02
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
NumberWeb
僕が一方的にアプローチしていました
出会いは2022年の初夏、町田浩樹がベルギーのシーズンを終えた後だった。
オフ期間を過ごすために日本に帰国している時期に、2人は居合わせた飲食店で知り合いに紹介された。町田は、プロサッカー選手として活躍する傍ら、早稲田大学の通信課程に通い、卒業するという異色の経歴の持ち主だ。今になって思えば、そんな好奇心旺盛な性格が運命を変えたのかもしれない。
そのときは色々な話をして、連絡先を交換しただけだった。ほどなくして、つかの間のオフは終わり、町田はベルギーの首都ブリュッセルへと帰ることになった。
そこからの町田は、ピッチ上とは違う顔をのぞかせることになる。サッカー選手としての彼は、W杯アジア最終予選でも力強いプレーで試合ごとに存在感を増しているが――相手の攻撃に対して体を張る、守備の人だ。ただ、運命の人に出会ったこのときだけは、ストライカー顔負けの積極性を見せた。
「僕が一方的にアプローチしていました」
町田はそう振り返るが、アプローチ方法は、知性派の彼らしいものだった。
当時の町田はグロインペイン症候群に苦しみ、「寝返りを打つのも痛い」ような状態だった。このケガは、運動量が求められ、ボールを蹴る動きを繰り返すサッカー選手がよく悩まされる。脚の付け根や股関節回りに慢性的な痛みが生じるものだ。
ただ、クヨクヨしてばかりもいられない。サッカーができなくとも、自分のためになるような取り組みをしたかった。そもそも、町田は自分の身体によいことを柔軟に取り入れられるタイプだ。有名なのが、キックオフ直前に見せる「でんぐり返し」。あれは三半規管を刺激し、脳を目覚めさせるためにやっている。
プレステ5買っちゃった。テトリス、DLしたよ!
だから、町田は彼女に提案した。
「両手で違う動きをして、脳に色々な刺激を取り入れるとサッカーをする上でも良いみたいでさ。ピアノの先生をしていたんだよね? もしよかったら、ピアノの弾き方を教えてくれない?」
ケガに苦しむトップアスリートからそう言われて、断る人はなかなかいないだろう。彼女はこう振り返る。