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「誇りに思う」「素晴らしい大人の男性に成長」コーチは号泣…初のGPメダル獲得、島田高志郎の背中を押した“ステファン・ランビエルの言葉”
posted2024/11/06 17:00
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
AFLO
11月1日からフランスのアンジェで開催されたGP第3戦目、フランス大会。男子はSPのトップ3人と、最終的なメダリスト3人の顔ぶれが全員入れ替わるという波乱に満ちた大会となった。そんな中でミスを最小限に抑えて、総合2位に食い込んだのは23歳の島田高志郎だった。シニアGPシリーズに参戦して8戦目、初のメダルを手にした。
「今自分がここで話しているのが、信じられない気持ちです」と島田は会見で、英語で語りはじめた。
「試合では何が起きるのかわからない。SPもフリーも、自分を信じて滑りました。『今日こそは』と自分に言い聞かせて滑りました。今までこれほど美しい体験をしたことはありません」
「とても誇りに思う」コーチは号泣
スイスでステファン・ランビエルコーチの指導を受けている島田は、英語が堪能だ。子供の頃から憧れの選手だったランビエルに野辺山のノービス新人発掘合宿で指導を受けたのをきっかけとし、2017年に彼に師事するため思い切ってスイスに移住した。
だがその年に股関節を負傷し、ずっと身体の痛みをなだめながら戦ってきた。
「一昨年の全日本選手権を最後にやめようと思ったところまで、結構追い込まれていました。そこからうまく付き合いながら、慢性的な痛みを右の股関節に抱えている形ではありますが、今シーズンは驚くほど痛みが出にくい。(中略)それが良い練習が積めている原因の一つかなと思います」
そんな愛弟子のGP初メダルに、ランビエルは号泣したという。
「とても幸せで、コーシローのことを誇りに思う。彼とは2017年から7年以上一緒にやってきました。彼は素晴らしい大人の男性に成長し、このメダルは大きな成果。コーシローは、今までどんな状態になっても前向きな姿勢を保ってきました。練習に遅れたことは一度もなく、僕にずっと敬意をもって接してくれて、スケートに対する情熱を失ったことはなかった。これまで彼が歩んできた道のりを誇りに思っています」