メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「オオタニが映ったらチャンネルを変えるよ」大谷翔平が消えた“エンゼルスの今”…40年超のエンゼルスファンが語った“怒り”「恋人を奪われた気持ちだ」
text by
田中仰Aogu Tanaka
photograph byGetty Images
posted2024/10/25 17:27
球団ワースト記録の99敗を喫したエンゼルス(写真は今季指揮したワシントン監督)。筆者は現地アナハイムを訪れた
「その理由は根深いんだ。たとえば、私が子どもだった頃、夜にニュースを見るわけだ。10時からはじまる1時間番組で、楽しみにしていたのは10時40分から5分ほど流れるスポーツニュースさ。そこで、だ。ドジャースと(NBAの)レイカーズについての情報は毎日流れるのに、エンゼルスのハイライトは最後まで放送されない。結果をおまけ程度に伝えるだけ。新聞もそう。レイカーズとドジャースは一面なのに、対してエンゼルスは後ろのページ。それも見落としてしまいそうなほど小さいサイズだ。エンゼルスが強かった時代でさえメディアでの扱われ方は小さかった。つまり、私たちエンゼルスファンは“爪弾き者”として育ったんだよ。そんな環境にいたら、ドジャースを好きになれないのも当然だろう?」
今季メジャーリーグのポストシーズンで、リーグ優勝決定シリーズに進出した4チームのうち、ヤンキース、ドジャース、メッツの3チームはメジャー球団の年俸総額の上位チームである。ドジャースに対する反感の中には、持たざる者の思いも含まれているようだ。
「ドジャースとヤンキースは似ているよね。お金持ち球団で欲しい選手を次から次に獲得できるのだから」
加えて、今年は大谷がドジャースで活躍しているという複雑な状況だ。昨年まで“うちのチームにいた”背番号17が、ドジャースのチームメイトからハグされている。ファンから大歓声を浴びている。その光景が古参のエンゼルスファンを憂鬱にさせた。
「オオタニがテレビに映ったら別のチャンネルに替えるよ。見られるわけない。ため息も出るさ。ああ、エンゼルスのオオタニでポストシーズンを戦ってほしかった、と。どれだけ負け続けても、チームに不平を言っても、それを乗り越えて優勝すれば、喜びは格別なものになる。2002年のワールドチャンピオンもそうだった。そこに向けて一緒にやりたかったよ」
「元恋人が悪いヤツと付き合っている」
チャック氏の口調が徐々に熱を帯びてくる。「この気持ち、何て表現すればいいかな……」。しばし黙考したのちに、こう続けた。