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「MVP松井秀喜…翌年エンゼルスで」大谷翔平と山本由伸が勝つと日本人何人目? ワールドシリーズ豆知識「野茂英雄やイチローが未経験。初制覇は…」 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2024/10/24 11:02

「MVP松井秀喜…翌年エンゼルスで」大谷翔平と山本由伸が勝つと日本人何人目? ワールドシリーズ豆知識「野茂英雄やイチローが未経験。初制覇は…」<Number Web> photograph by USA TODAY Network/AFLO

2009年ワールドシリーズMVPに輝いた松井秀喜。翌年にエンゼルス所属となり、チャンピオンリングが贈呈された

 ヤンキースタジアムでの初戦はフィリーズのクリフ・リーが1失点で完投、6対1で勝利した。6番DHの松井は3打数1安打だった。

 これ以降、松井の打棒が爆発する。

 第2戦、フィリーズの大投手ペドロ・マルティネスから5番DHの松井は6回に勝ち越し本塁打。3打数2安打1打点。ヤンキースは1勝1敗に戻す。第3戦、敵地シチズンズバンクパークに移る。DHが使えないため、松井はスタメンを外れたが7対5とヤンキースがリードした8回、ジョバ・チェンバレンの代打で登場するとブレット・マイヤーズからダメ押しとなるソロホームランを放った。

 第4戦、この試合も代打でブラッド・リッジと対するが遊飛。この日も7対4でヤンキースが勝ち、王手をかけた。第5戦、この日の松井もスタメンを外れる。5−8と負けている9回、に塁に安打のホルヘ・ポサダを置き、フィル・ヒューズの代打で出場した松井は左前打。無死一・三塁となり続くデレク・ジーターの遊ゴロで1点を返したものの敗れ、ヤンキース3勝フィリーズ2勝となる。

 第6戦、本拠地ヤンキースタジアムに戻り、5番DHに座った松井は、2回、ペドロ・マルティネスから2本目となる2ラン本塁打。続く2回は2死満塁で、同じくマルティネスから2点タイムリーヒット。そして5回には1死一、二塁でJAハップから右に2点タイムリー二塁打を放った。

ヤ軍退団→翌年エンゼルスでジーターらと抱擁

 松井の4打数3安打6打点の大活躍で、ヤンキースが7対3で勝ち、ワールドチャンピオンに。松井はシリーズ通算13打数8安打3本塁打8打点、打率.615、OPS2.027の大活躍で文句なしのMVPに選ばれた。

 契約満了期だった松井をヤンキースはつなぎとめるかと思われたが、このオフにあっさりとFAにする。ワールドシリーズ第6戦は結果的にヤンキースでの松井の最後の試合になった。その翌年、エンゼルスに加入した松井は、4月のヤンキースタジアムでチャンピオンリング贈呈式に臨み、キャプテンのジーターらと熱い抱擁を交わした。

レッドソックス上原と田澤も鮮烈だった

 松井に続いて鮮烈な印象を残したのは2013年、レッドソックス上原浩治、田澤純一の2人の救援投手だった。レッドソックスは4勝2敗でカージナルスを下したが、上原、田澤はともに6試合中5試合で投げる活躍だった。

 上原は5試合4.2回を投げて2セーブ、3奪三振、与四球なし。自責点0。6戦目の最終回を投げ切り、日本で言う“胴上げ投手”となった。田澤は同じく5試合2.1回を投げて2ホールド、3奪三振、与四球1。自責点0。日本人投手の「勝利の方程式」で見事栄冠を勝ち取ったのだった。

 大谷翔平と山本由伸は上原と田澤以来、実に11年ぶりの日本人のワールドシリーズ制覇を目指す。2人は昨年3月の第5回WBCのチャンピオンリングを持っているが――これに続いて“日本人8、9人目”となるチャンピオンリングを得ることができるだろうか?

〈大谷・由伸ドジャースvsヤンキース特集:つづく〉

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