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『ブラン監督、頭おかしくなったのかな?』男子バレー前監督が最後に明かした…石川祐希が“グー”を出した新技の秘話「世界が真似する発明になるかも」
posted2024/10/19 11:20
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
NIKKAN SPORTS
パリ・オリンピックで、石川祐希が「グー」でブロックしていたのを、みなさんは覚えているだろうか?
そしてグーブロックは日本で誕生したことをご存じだろうか?
そんな「グーブロック誕生秘話」を披露してくれたのは、前男子日本代表監督、いまは韓国リーグの現代キャピタルで采配をふるうフィリップ・ブラン監督だ。
バレーボール特集Number1106号では、石川と高橋藍への「贈る言葉」を語ってもらったが、実は書ききれない要素が多々あり、そのなかにこの新しい戦術のことがあった。
『頭おかしくなったんじゃないの?』
ブラン監督が日本を指導し始めたのは2017年からだったが、列強の強烈なスパイカーに対して戦術的にどう対応するのか。それは日本の永遠の命題だった。
「日本の課題は昔も今も、ブロックです。試合内容を分析していくと、相手が日本の選手の指先を利用してワンタッチを取り、ポイントを取る戦略を採っているのが明白でした。世界のトップ選手は、それが出来るのですよ。そこで私が考えたのが『グーブロック』でした」
これまでのブロックといえば、五本の指を目いっぱい開き、少しでも高さと幅を出すのが常識だった(日本の中学、高校のバレーボール部員は、机の上に目いっぱい指を開き、グイグイと押し付けて、指を鍛えた経験があると思う)。ところが、ブラン監督はそこに疑問を呈した。
「大前提として、ブロックという技術において、指先はもっとも弱い部分だということです。私は、『だったら、弱い部分を隠してしまえばいい』と考えたのです」
五本の指を握ってしまえば狙われることはない。そして、このアイデアを思いついた時期を聞いて驚いた。
「2年前です。私は2年前にはグーブロックを思いついて、選手たちに提案したのです」
ところが、この画期的なアイデアに対する選手たちの反応は芳しいものではなかった。
「実際、私はデモンストレーションさえしたのです! でも、選手たちからは『このおじさん、頭おかしくなったんじゃないのか?』という目で見られましたよ(笑)。ただ、革命的な発想が出た時は、人間、得てして拒否反応を示しがちなものです」