5000mのタイムが1年生より遅かったので県の総体ではビデオ係をやらされた。後輩が走っている中、なぜこんなことをしているのかと悔しさを噛みしめた。夏合宿で必死に頑張ると都大路で1区を任された。

慶應から自分みたいな変な奴が…

「いきなり言われてびっくりして、前日は一睡もできなかったんです。レースは長嶋（幸宝・旭化成）が1500mの自分の自己ベストよりも速い2分43秒ぐらいのハイペースで引っ張った。さすがにみんな落ちてくるだろうとうしろを振り返ったらひとりしかいなくて（苦笑）。最終的に41番で妥当な結果だなと思い、コンビニでフランクフルトを食べていたら監督に会って『おまえ、どういうつもりだ』って怒鳴られました。

　その時、すごく悔しかったんです。次の1年で見返してやると思ったんですが、今回はその時と状況が似ていて予選会は初めてのチャレンジ。ハーフを知り、大学陸上のレベルを痛感するいい機会。それを体験した後、自分がどうすべきか考えることができるので」

　ハーフのタイムは持っていないが、レースでは木村についていくと決めている。予選会で爆発するのか。それともインパクトを残せずに終わるのか。ただ、予選会突破には、成沢のような未知の選手の爆発が不可欠だ。

「チームでも学生連合でもいいので、とにかく箱根に出て1区区間賞を獲りたい。慶應で、自分みたいな変な奴がひょっこり飛び出して、『なんだこいつ？』みたいになって区間賞を獲る。それで『引退します』って言えたら格好いいかなって思っています（笑）」

「慶應の異端児」は、初の予選会でどんな走りを見せてくれるのだろうか。

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