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「オオタニは全米では“普通のスター”だったのに…」米国メディアの大谷翔平への評価が変わった…ドジャース一塁コーチは「ショウヘイとの作戦会議」を明かす
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2024/09/26 11:08
前人未到の「50本塁打、50盗塁」を達成した翌日(現地20日)、地元ロサンゼルスで大歓声に迎えられた大谷翔平
「2024年の開幕時点で、大谷はエリートスラッガーであるが、全米的に見ればノーマルなスターという存在だった。しかし、彼は自らの才能を最大限に発揮した」
と書いたうえで、賛辞を贈る。
「これまで二刀流の選手として、『現代のベーブ・ルース』とわれわれは呼んできたが、彼はもはや『大谷翔平』という独立した存在になったのであり、同時代に彼のプレーを見られるのは幸せなことなのである」
キャリアのプライムタイム真っただ中の大谷のプレーを見られるのは、本当に幸せなことだ。
あの助っ人外国人が語った「オオタニの盗塁増加」
ただ、「50-50」の達成はこれが最初で最後かもしれないとも思う。来季、大谷が投手兼任となれば、盗塁の数は自ずと減らざるを得ないだろう。「ジ・アスレティック」のタイラー・ケプナー記者は、盗塁の増加についての考察を、かつてアトランタ・ブレーブスでオールラウンダーとして名を馳せ、東北楽天でもプレーしたアンドリュー・ジョーンズへのインタビューを通して書く。ジョーンズは、自身の体験をこう語る。
「年齢を重ねると、外野での守備のことを考えて、盗塁を自重するようになった。盗塁すると脚に疲労が溜まり、広いエリアをカバーする外野の守備に影響するんだよ」
なるほど。
大谷はイニング交代時のグラウンドへの往復がない指名打者としての恩恵を、最大限に生かしていると言える。
そして「ESPN」のアルデン・ゴンザレス記者は、ドジャースの関係者へのインタビューを通じて盗塁の増加を違った視点から分析している。まず、ロバーツ監督は春の時点から大谷の「足」に大いに期待を寄せていたようだ。
「翔平はスプリングトレーニングの時点から、『40-40』、可能性として『50-50』への挑戦を“ミッション”としてトレーニングに取り組んでいた。スプリント力をトレーニング・コーチと一緒になって磨いていた」
ロバーツ監督は、こう続ける。