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卓球PRESSBACK NUMBER
「伊藤美誠、平野美宇、早田ひな…3人を率いて五輪に出たい」韓国卓球の名将が明かす“日本復帰”のビジョン「中国を倒してメダルを獲れる」
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2024/09/20 11:06
ジュニア時代の伊藤美誠、早田ひな、平野美宇に指導した呉光憲監督。日本を離れてからも教え子たちのことを気にかけている
一つ気がかりなのは、呉監督が指揮したジュニア代表でエースだった伊藤が日本代表から外れていたことだった。
「彼女は子どものころから天才肌。それに東京五輪では金、銀、銅のメダルを獲ったのは素晴らしかった。そこから自分に厳しくできるのかが勝負所でしたが、今は少しずつ調子も上がってきていると聞いています」
韓国で指導者生活を送っていた中でも、常に3人のことは気にかけているようだった
韓国代表は退任…日本復帰もある?
試合後、呉監督はシン・ユビンに「この短い期間で、一人で色々なことができるようになった。だからもっと自信を持っていい」と伝えた。予想をはるかに上回る活躍を見せた20歳のパーソナルな部分も高く評価している。
「性格は明るくチームのムードメーカー。緊張を楽しむタイプで、五輪という大舞台になるほどワクワクしているのが分かりました。3位決定戦では悔しいはずなのに泣いている早田を慰めるシーンを見て、本当に20歳なのかと驚きました。そのような心を持ち合わせていることも素晴らしいことです」
しかし、2028年ロサンゼルス五輪でのメダル獲得に期待したいところだが、残念ながら呉監督は11月末で代表チームでの任期を終える。その後は、2021年まで率いていた実業団チーム「ポラムハレルヤ卓球団」に戻り、団長として後進の指導にあたるという。
「また日本代表監督のオファーがあったら引き受けますか?」
呉監督は筆者の質問に、少し間を開けて、ハッキリとこう答えた。
「その気持ちは強く持っています。指導者人生においてやり残したことがあるとすれば、日本代表監督として伊藤美誠、平野美宇、早田ひなの3人を率いて五輪に挑戦すること。この3人が一緒に出た五輪は一度もありませんし、みんなが一緒に五輪に出られるチャンスは4年後のロス五輪が最後になるはずですから。それにこの3人がまた心を一つにして、新たな目標に向かえば、必ずメダルを獲れます」
日本を代表する3人の心を一つにして、中国を倒してメダルを獲る。4年後、それができるのは自分しかいない――そんな言葉にも聞こえた。
夢物語のようなシナリオで、実現するかもわからない。それでも54歳の呉監督は「新たなストーリーと歴史を作れたら楽しいでしょうね」と笑った。
(全2回/前編から続く)