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卓球PRESSBACK NUMBER
「伊藤美誠、平野美宇、早田ひな…3人を率いて五輪に出たい」韓国卓球の名将が明かす“日本復帰”のビジョン「中国を倒してメダルを獲れる」
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2024/09/20 11:06
ジュニア時代の伊藤美誠、早田ひな、平野美宇に指導した呉光憲監督。日本を離れてからも教え子たちのことを気にかけている
風通しの良さは、こんなエピソードからもわかる。
「連日の練習がハードであまりにも疲れ切っているけれど、選手は何も言わないわけです。私は選手の表情を見て、午後の練習に入る1時間前に『今日は練習をオフにして、今からみんなで映画を観に行こう!』と伝えたんです。そうしたら選手は驚きと嬉しさでいっぱいになりますよね(笑)。選手の誕生日にも必ずメッセージを送っていましたし、チームの雰囲気をうまく作ることは常に意識していました」
呉監督の指導のもと、韓国代表は国際大会で結果を残すようになった。
昨年5月、南アフリカ・ダーバンで行われた世界選手権のダブルス準決勝で、シン・ユビンとチョン・ジヒペアが中国を破る快挙を達成。決勝では惜しくも敗れて銀メダルとなったが、同大会では韓国男子ダブルスの2組も銀、銅を獲得した。韓国が世界選手権でメダル3つ以上を獲得したのは、2003年大会以来20年ぶりのことで、久しぶりに韓国卓球界に注目が集まった。
シン・ユビンに伝えた平野美宇の弱点
そうして迎えたパリ五輪。シン・ユビンがかつての教え子である平野と早田と戦う試合に向けて、呉監督は対策を講じた。
「平野はセンターとファーのコースについていく動きに弱点があると踏んでいました。サーブがファーに深く入り込むとレシーブがうまくできない傾向があるので、そこを徹底的に狙う作戦で試合を進めるように伝えました」
女子シングルス準々決勝。シン・ユビンは徹底して、平野の真ん中を攻め続けた。結果、平野はフォアハンドとバックハンドのどちらで打つかを迷うことになる。迷いから体勢が崩れたところで、シン・ユビンが両サイドの遠いところに打ち返す。この作戦に平野はハマってしまった。