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「伊藤美誠、平野美宇、早田ひな…3人を率いて五輪に出たい」韓国卓球の名将が明かす“日本復帰”のビジョン「中国を倒してメダルを獲れる」 

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キム・ミョンウ

キム・ミョンウKim Myung Wook

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photograph byYUTAKA/AFLO SPORT

posted2024/09/20 11:06

「伊藤美誠、平野美宇、早田ひな…3人を率いて五輪に出たい」韓国卓球の名将が明かす“日本復帰”のビジョン「中国を倒してメダルを獲れる」<Number Web> photograph by YUTAKA/AFLO SPORT

ジュニア時代の伊藤美誠、早田ひな、平野美宇に指導した呉光憲監督。日本を離れてからも教え子たちのことを気にかけている

 シン・ユビンが3セットを奪って迎えた4セット目、平野はユニフォームを着替えにコートを出た。

「平野は10分後に出てきました。ケガなどの処置の場合は10分の時間が与えられるのですが、着替えは長くても3分ほど。ジッと待つ間にユビンの体は冷めて固まり、ここで完全に流れが変わりました」

 抗議してもおかしくない状況だったが、呉監督はかつての教え子に対し、それをためらった。

「主審に言わない私の姿を隣で見ていたユビンも、私の気持ちを察していたと思います。いらないことで威嚇する必要はないし、実力で勝てばいいと思っていましたから」

 平野が一気に3セットを取って3-3。しかし、最後はジュースまでもつれこみ、13-11でシン・ユビンが勝利した。あまりの緊張感から解放されたシン・ユビンは泣き崩れた。それほどの死闘だった。

「惑わされるな。早田が棄権するわけない」

 早田との3位決定戦では、「早田の左手のケガに翻弄された」と苦笑いする。

「ゲームカウントは2-4でユビンが敗れましたが、勝つチャンスもあると考えていました。というのも、五輪の前にマカオで行われたITTF男女W杯の1回戦で、ユビンは早田に3-3で追いつかれて最後の7セット目、リードしながら最後は逆転で早田に負けているんです。

 雪辱戦だったわけですが、左手首を痛めて試合に出ないんじゃないかという噂が流れていたんです。練習中も治療のスタッフ2、3人と一緒にいるので、確かに様子がおかしいと思っていましたが、早田がメダルのかかった試合を棄権するわけない、必ず試合に出てくると私は気にかけませんでした。なので、私はユビンにまどわされないように『これは日本側の作戦だ』とはっきりと伝えていました」

 最も期待を寄せる新星が、かつての教え子とオリンピックの舞台で戦う。これほど指導者冥利に尽きる展開はない。

「私が知る平野美宇は接戦でも粘り強いプレーと高い持久力が持ち味の選手で、成長スピードも速かった。ただ今回、試合した印象では少し伸び悩んでいるようには見えました。連結された技術は優れている選手なので、例えばサーブ、レシーブ、3球目攻撃といったシステムに対する準備をするなど、これからは自分のプレーを少し変えられるようにできればいいと感じました。一方で、早田ひなは3球目攻撃が鋭く、パワーもあるので相手がレシーブを恐れる傾向があります。本当に大きく成長したなと感じた試合でした」

【次ページ】 伊藤美誠にもエール「彼女は天才」

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