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「まさか五輪で対戦するとは…」早田ひな、平野美宇、伊藤美誠を育てた韓国の名将が新星シン・ユビン(20歳)に伝えた“打倒・日本”の対策とは?
posted2024/09/20 11:05
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph by
Kaoru Watanabe/JMPA
パリ五輪に出場する日本代表の選手たちを、特別な心境で見つめていた韓国人指導者がいる。
2022年1月から卓球女子韓国代表のヘッドコーチに就任した呉光憲(オ・グァンホン)監督だ。
「教え子でもある平野美宇や早田ひなと、パリ五輪の大舞台で対戦するとは想像もしていませんでした」
平野と早田を苦しめた韓国の新星
パリ五輪の女子シングルス準々決勝、“天才少女”と呼ばれる女子韓国代表の20歳のエース、シン・ユビンは平野を4-3のフルゲームの末に撃破。その後の3位決定戦で早田にゲームカウント4-2で敗れたものの、早田に歩み寄ってハグで祝福する姿は心温まるシーンとして話題を集めた。
メダル獲得こそならなかったが、平野を接戦の末に破り、早田との激闘を繰り広げたシン・ユビンは韓国でも一躍、時の人となった。さらに混合ダブルスではイム・ジョンフンとのペアで銅メダルを獲得。ロンドン大会の銀メダル以来となる快挙に、指導する呉監督にも注目が集まった。
韓国ポータルサイト『NAVER』で「呉光憲」の名前を検索すると『伊藤美誠の師匠からシン・ユビンの師匠へ』『日本の平野美宇を指導した呉監督の信頼』『“日本通”の司令塔』といった見出しの記事がヒットする。「日本をよく知る人物」として十分な対策が実った、と韓国内では高い評価を受けていた。
シン・ユビンに「私が出会った中で最高の監督」と信頼を寄せられる呉監督は、充実の大会をこう振り返る。
「帰国後もメディアの取材が続いていて、まとまった休みが取れず、かなり疲れています。ちょうど何日も続いたテレビの密着ドキュメントの撮影も終わったばかりなんです。私が韓国代表の監督になったあと、国際大会で早田と平野のプレーを見ることはあったのですが、久しぶりに五輪の舞台で戦う姿を見て、パワー、スピードに加えて粘り強いプレーもしっかりと備わって成長した姿にとてもうれしくなりました。
ただ、私が韓国代表監督なので、彼女たちは私の顔を見ても少し距離を置くようになりましたね(笑)。そこはやはり日本にとって韓国はライバルですから」
流暢な日本語で冗談を言う姿を見れば、呉監督と日本の関係が深いことがよく分かる。だが、一体どんな経歴をたどってきたのだろうか。
日本とのつながりは、今から20年以上前にさかのぼる。