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卓球PRESSBACK NUMBER
「伊藤美誠、平野美宇、早田ひな…3人を率いて五輪に出たい」韓国卓球の名将が明かす“日本復帰”のビジョン「中国を倒してメダルを獲れる」
posted2024/09/20 11:06
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph by
YUTAKA/AFLO SPORT
「どれだけ優秀な指導者がいても、選手と心を通わすことができなければ、成果は出ない」
卓球女子韓国代表の呉光憲監督が選手を指導する上でのモットーである。
かつてジュニア世代の日本代表監督を務めていた頃から“心のコミュニケーション”を重視しており、当時13歳だった伊藤美誠、平野美宇、早田ひなを始めとするジュニア選手たちと心を通わすため、まずは自らが模範となる行動を取ることを心掛けたと振り返る。
「練習場に誰よりも早く来て、室内をきれいに掃除して選手が来るのを待ちました。合宿の最終日には選手たちと一緒に、焼肉を食べにいくこともありましたし、コーチとも食事をしながらたくさん話をしました。コミュニケーションが成立しなければどんなに優れた技術を持つ選手でも、それをさらに向上させるのは難しい」
韓国の強化に生かされた日本での経験
2016年に日本を離れ、2022年1月に卓球女子韓国代表監督に就任した呉監督は、日本で培った経験を生かして、当時と同じようにコミュニケーションに注力した。
「おそらく私が毎日、練習場に誰よりも早く来ていることにはみんな驚いていたと思います。『あ、以前の監督とは違う』というのを感じてくれていたのなら嬉しいですよね。練習環境を整えてあげて、次に選手にはストレスを与えないように、自ら考えてやりたいことをやるように促しました」
韓国で“代表監督”を務めるには、国際大会や五輪での代表歴やメダリストである実績が重要視される。選手時代はまったくの無名だった呉監督の抜擢は極めて“異例”と言っていい。それでも、シン・ユビンが「私が出会った中で最高の監督」と語る理由もよくわかる。
「私が代表選手でなかったこともありますが、『自分たちの時代はこうだったからこうすべきだ』という高圧的な指導はしたことがありませんし、したくない。選手が自ら考えて練習して、チャレンジすること。口を酸っぱくして伝えました」