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オリンピックへの道BACK NUMBER
五輪リザーブは「楽しかった」卓球女子団体・木原美悠が語る、長い選考レースの末に笑顔でサポートできた理由…「気持ちの準備はできていた」
posted2024/09/17 17:01
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Shigeki Yamamoto
パリ五輪、決勝戦で王者中国と激闘を演じ、4大会連続のメダルを獲得した卓球女子日本代表。そのチームで、目立たぬながら重要な役割を果たしたのがリザーブの木原美悠だった。リザーブで五輪を経験した選手が次大会で活躍するケースは少なくない。木原が代表選考からパリでの日々で得たもの、そしてこれからへの思いをNumberWebのインタビューで語った。<全2回の前編/後編へ>
パリ五輪でシングルス、団体で2つのメダルを獲得した卓球の早田ひなが、何度も繰り返し感謝を捧げた相手がいる。団体戦リザーブを務めた木原美悠(木下グループ)だ。
リザーブとは団体の誰かしらが病気や怪我などアクシデントでプレーできなくなったとき、交代して出場することができる立場の選手だ。
ただ卓球では交代に至るケースは実際には少なく、その役割は代表選手の練習相手を務めるなど、いわば裏方としての仕事が主となる。団体でメダルを獲得しても、受け取れるわけではない。公式のウェアなど、支給されるものにも違いが出てくる。
だがもちろんリザーブも、オリンピックの舞台を目指してきた強豪選手だ。求められる役割と、本来目指していたものとの違い、担う仕事のハードさ……これまでの大会でリザーブを任された選手の中には、濃淡の違いはあってもその務めに葛藤があったことを示唆するものもいた。それも無理はない。
リザーブという立場の難しさ
早田の木原への感謝の中に、このような言葉があった。
「人の気持ちを考えて行動する難しさを、私は東京のときに経験しました。メダルを獲得していく仲間の練習相手や球拾いや応援など、できることは何でもやりました。その心中は、痛いほど分かっています」
早田も東京五輪で務めた、リザーブという立場の難しさが伝わってくる。木原はその役割を全うしてみせた。
あらためて代表選考レース中の心境、代表に入れなかったときのこと、リザーブという役割をどう考え取り組んだのか。そしてこれからへの思いを木原に尋ねた。