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オリンピックへの道BACK NUMBER
五輪リザーブは「楽しかった」卓球女子団体・木原美悠が語る、長い選考レースの末に笑顔でサポートできた理由…「気持ちの準備はできていた」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byShigeki Yamamoto
posted2024/09/17 17:01
パリ五輪卓球女子日本代表、木原美悠。練習場にはパリ五輪仕様の卓球台も備えてあった
パリ五輪開催中の8月3日に20歳の誕生日を迎えた木原美悠は、卓球界にあって早くから将来を嘱望されてきた。
成績が物語る。小学生の頃には年代別の全国大会で次々に優勝し、2019年全日本選手権では平野美宇らを破り、14歳5カ月の史上最年少で決勝に進出。伊藤美誠に敗れたものの準優勝を果たした。さまざまな国際大会にも出場し、世界ジュニア、世界ユース選手権で表彰台に上がり、2022年には世界選手権代表にも選ばれている。自然と、パリ五輪代表候補の一人として目されるようになっていた。
木原自身もパリを意識していた。
「(コロナ禍の影響があった)東京オリンピックのときは会場に行くことができず、現地で試合を見ることもできなくて、オリンピックという大会を画面で見ることしかできませんでした。でも、伊藤選手と水谷(隼)選手のミックスダブルスや、石川(佳純)選手、平野選手の戦う姿に、ほんとうに格好いいイメージがあって、自分も次のパリオリンピックでこんな大きな舞台に立てたらいいなっていう気持ちは強くなりました」
代表選考レース2位につけていたが…
パリ五輪代表のうちシングルス2名は、選考対象大会のポイントの累積によるランキングで決まることになっていた。選考レースは2022年2月の「LION CUP」でスタートし、以降、2024年1月の全日本選手権まで2年にわたり繰り広げられた。
木原は好調な滑り出しを見せ、選考レースがスタートして約1年、半分を終えた段階で早田に次ぐ2位につけていた。
だがそこから成績は伸び悩んだ。
「2位にいたことでプレッシャーがあって、1回戦で負けることが続いたり。そうですね、やっぱりランキングで2位になったときくらいからが辛かったですね」
選考大会のひとつ「全農カップ平塚大会」(2023年5月)で敗退したときは、涙も見せた。元来は結果によらず前向きさを感じさせる受け答えが多い木原の涙は、普段とは異なる重圧を思わせた。