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“りくりゅう先輩”がきっかけに…日本ペアの新星、長岡柚奈19歳&森口澄士22歳が成長中!「隣に信頼してる人がいる」結成2季目の関係性
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAFLO
posted2024/09/15 11:05
りくりゅうに続く飛躍が期待される日本の長岡柚奈&森口澄士ペア
長岡がインタビュー中に涙「考えすぎたりとか…」
「正直に答えると、すごいプレッシャーになります」最初にそう口を開いたのは、森口だった。「期待されているのは嬉しいことでもあり、期待されなくなったら終わりと思っている。プレッシャーは期待であり、かけてくださる連盟さん、コーチのみなさん、僕的には嬉しいし、ハラハラしながら練習するのも嫌いじゃない。でもその緊張、プレッシャーをまだ乗り越えきれていないというのはあります。もう少し、二人で強くなっていけると思っているので」
長岡はこう続けた。「いろんな方から期待していただいて、応援していただいてそれはすごい嬉しくて。でもそのプレッシャーに打ち勝てなくて失敗とか、考えすぎたりとかはある。でも日本代表として出してもらってるので……」そこまで言うと、彼女の目から、涙があふれてきた。この試合で力を出し切れずにミニマム・スコアに到達できなかった悔しさもあるのだろう。
「プレッシャーに打ち勝てるように、練習しっかりしていかないといけないと思います」そう言いながら涙を拭って口元を引き締めた。
長岡&森口組の“持ち味”は?
二人の演技の持ち味の一つは、しっかりしたスケーティングの基礎とスピード感だ。この試合では特にフリーでトランジションの巧さも目についた。
その一方でペアのエレメンツに関してはまだぎこちなさもあり、試行錯誤を重ねながら練習しているという。もっぱらの課題はトリプルツイストを習得することだ。二人はこの大会の後、再びカナダのオークビルのリンクに戻った。3カ月限定の合宿で、ブルーノ・マルコットコーチらの指導を受けて3ツイストを学ぶことも目的の一つだ。
「今回の大会でダブルツイストの組は私たちだけ。これから絶対必要なので、今一番伸ばすべきところだなと思っています。それとスロウはうまい他のペアに比べたらスピードも高さも足りていないし、成功確率もまだ慣れていないので伸ばしていきたい」と長岡は抱負を口にした。
普段は京都の木下アカデミーが拠点で、キャシー・リードコーチがリフトやステップ、トランジションなどのアドバイスをくれるが、ペアのコーチはいない。二人でカナダで学んだことを基にして自主トレ状態なのだという。りくりゅうのように、海外に拠点を移すことは考えていないのか。
「やりたいけど、経済的に難しくて……」と森口。「今は木下グループにサポートしていただいて、こうして大会にも出ることができる。濱田(美栄)コーチも、『行っておいで』と言ってくださってこうして定期的に海外でトレーニングができています。3カ月間という限られた期間で、気持ちを入れてやるということも大事だと思っています」