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「箱根の舞台で強豪をぶっちぎってやりたいと」川内優輝が池井戸潤の“箱根駅伝”最新長編を読んで去来した思い「学生連合は存続してほしい」 

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posted2024/09/07 11:02

「箱根の舞台で強豪をぶっちぎってやりたいと」川内優輝が池井戸潤の“箱根駅伝”最新長編を読んで去来した思い「学生連合は存続してほしい」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

市民ランナーからプロランナーへ。形を変えながら走り続ける川内が『俺たちの箱根駅伝』を読んで感じたこととは

川内 大学3年生で箱根駅伝に出場できなかったので、4年生の春になるまで1社も声がかからなかったというのもあります。その前に公務員試験の受験勉強をはじめていたので、こんなに頑張って勉強してきたんだから、いまさら実業団には行きたくないよな、という気持ちもありました(笑)。

 近年、市民ランナーとして活躍している人を見ていると、強豪大学、強豪高校出身の人が多いことに気づきます。きっとどこかのタイミングで、厳しい練習を積み、自分に必要なトレーニングとはなにか知っているんですよね。その厳しい面の中から、いらない部分をそぎ落として、効率化して練習を積んでいる。だから働きながらでも記録を伸ばすことができるのだと思います。そうして自己管理できる人、高校や大学で学んだことを活かせる人が、実業団に入らずとも活躍できているんだと思いますね。

強豪チームをぶっちぎってやりたい

――『俺たちの箱根駅伝』では、なぜ努力するのか、なぜ走るのか、ということが大きな問いとして提示されます。川内さんにとって、走る理由とはなんでしたか?

川内 箱根駅伝に関して言うと、大学や関わってくれている人たちの期待にこたえたいというのはもちろんありましたが、もう一つ、自分自身のプライドのためでもありました。

 高校時代に怪我で挫折を味わって、強豪大学のエリート路線から脱落した落ちこぼれだ、という風に自分のことを思っていました。だから、高校時代から活躍して、スポーツ推薦で強豪チームにいるような連中を、まさに「箱根」という舞台でぶっちぎってやりたい、というギラギラした強いプライドがあったんですね。

 実際、4年生の箱根では、レース終盤で中央大学の背中が見えてきて、僕の次の区間の梶原選手(松蔭大)が僕が埋めた差をうまく活かして抜いてくれたときは本当に嬉しかった。チームの結果も、この年の学連選抜は復路3位の好成績を収めました。この記録は、学連選抜、学生連合史上最高順位です。

――100回大会では学生連合チームは編成されませんでしたが、次回101回大会ではまた組織されます。川内さんご自身は、今後の学生連合へどのような思いを持っていらっしゃいますか?

川内 一人1回しか出場できないという制度については思うところがありますが、一番は「存続してほしい」という気持ちが強いです。

「箱根駅伝」はやっぱり特殊なレースなので、1回出場しただけではよく分からないまま終わってしまう選手もいると思います。僕自身、2年生で初出場したときは、何がなんだか分からないまま、経験を積みながら走り切ったような感じでした。

 4年生で再び出場できたときは、2年次に先輩方がしてくれたように、自分も後輩達をチームメイトとして鼓舞したいという気持ちがあって。本番前日に、復路の数人に「明日は大部屋組の逆襲を見せてやろうな!」というようなメールを送って、それでいい結果にもつながったのかなという思いもあります。難しいかもしれませんが、できれば学連選抜のように複数回選ばれたほうが、見えてくる景色も違うのではないかと思っています。一校一人ずつ選ばれるというシステムは、出場校が増えている今に合っているので、そこは維持してほしいですね。

――2年ぶりに編成される学生連合の皆さんの活躍が、いまから楽しみですね!


<前編から続く>

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「作中の比ではない弱小校」学習院大から学連選抜へ…池井戸潤『俺たちの箱根駅伝』を読んだ川内優輝の回想「予選会出場で胴上げしました」

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