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「大谷さん、どこを目指して突き進んでいるんですか」に大谷翔平は何と答えた? 初MVPに輝いた3年前、じつは“二刀流の危機”を感じていた
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph byNanae Suzuki
posted2024/09/05 17:01
メジャー初のMVPを獲得したエンズルス時代、2021年の大谷翔平。8月を終えて42本塁打&8勝という成績をあげていた中で「二刀流の危機感」について明かしていた
「チームとして、僕が2つをやっていくという方針に対して、見切りというか、そういう感じはありましたからね。バッターとしての実績はある程度はあったと思いますし、そこに関しての怖さはありませんけど、ピッチャーとして、バッターと並行してやっていくリスクを負ってまで投げさせる価値があるのかどうか」
ーー大谷さん自身も、ラストチャンスだと思っていたんですか。
「僕自身が、というより、チームとしてそうじゃないかなとは思っていました。今年、チームから今のような感じで制限なくやっていこうと思ってる、と言われたとき、ああ、そういうことなのかな、と......もちろん具体的にそう(ラストチャンスだと)言われたわけではないんですけど、そういう雰囲気は感じました」
この先も二刀流を続けるために…
ーーつまり登板日前後のバッターとしての出場や、ピッチャーからそのまま外野の守備についたりといった今シーズンのジョー・マドン監督の起用法は、大谷さんを解き放つことでさらなる高みを見据えていたというより、二刀流の限界を見極めようとしていた、ということになるんでしょうか。
「去年も2試合に先発しましたけど、ピッチャーとして復帰するシーズンとしてはとても投げたとは言えない登板数でしたし、今年はあんまり丁寧に行きすぎてもな......みたいな雰囲気はありました。だったら今年は思い切っていってみようということだったんじゃないですかね。 結果的にうまくハマりましたけど、すべてが計算されていたわけではなかったと思います」
ーーこの先も二刀流を続けるために、相手と戦い、自分自身と戦い、まさかチームとも戦っていたとは......。
「だから、そう(ラストチャンスだと)いう雰囲気を吹き飛ばすためにも、数字は示さなくちゃならなかったと思います。今の時代、いい数字が残ればそれだけチームも使わなくちゃならない選手だというところに落ち着きますからね」
<続く>