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「結構な血の量だったので、さすがに焦りました…」柔道・阿部一二三がいま明かすパリ五輪金メダル秘話「兄として絶対に妹の分までやりきる」
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byHiroyuki Nakamura
posted2024/08/23 18:40
東京五輪に続き柔道男子66kg級で金メダルを獲得した阿部一二三
「相手が前に前にと出てきて雑になっていた。勝負どころだと思ったし、(密着しても)体の強さは絶対に負けない自信があった」
準決勝も主導権を握り続けてゴールデンスコアで勝利。そしてブラジルのウィリアン・リマとの決勝では、東京五輪以降に積み上げてきた稽古の成果が生かされた。
「長引いたらしんどくなる。相手のペースにさせないように」と考え、引き手を持たせてもらえないと見るや、釣り手を持って足技で攻めた。1分48秒、小外刈りを仕掛け、それを返そうとするリマの体を制して隅落としで技あり。最後は伝家の宝刀、袖釣り込み腰で金メダルを決めた。
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「襟だったり、釣り手を持つだけでも戦える。この3年間、足技も重点的にやってきたし、試合が始まったら頭で考えなくても自然と出ていました」
いくら練習しても不安だったけど、やっと報われた
東京五輪の頃は直線的な前後の攻めだったのが、そこから足技で幅を広げ、上半身の決めも向上した。
「取り組んできたことを結構出せたのかなと思います。いくら練習しても不安は拭い切れないし、強くなっているのか分からなかったけど、この舞台でやっと報われた」
正座して深々と一礼をしてから畳を下りた阿部。立ち上がって周りを見渡すと会場中が祝福してくれていた。
「東京の時は無観客だったので、これがオリンピックなんだなと思いました」
勝って当然と思われながら、当然のように勝って果たした連覇。その歓声の中には、スタンドで泣きながら見守っていた詩の拍手も含まれていた。
団体戦後に1人流した涙
歓喜の時から6日後、阿部は再び金メダルをかけた畳の上にいた。
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