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メダルまで0.12秒…“世界から最も遠い”110mハードルで村竹ラシッドがパリ五輪決勝ゴール後に明かした思い「喜んでいいのか分かんないっすね」
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byRyosuke Menju/JMPA
posted2024/08/14 06:00
パリ五輪110mHで日本人初の決勝進出、5位入賞を果たした村竹ラシッド。ゴール後には喜びと悔しさが入り混じった表情をみせた
「(今大会は)決勝進出が目標かなって思っていました。メダルは取れませんでしたが今回でメダルに対する目標がより現実味を帯びたように思えたのでこの3年間は無駄じゃなかった。もっともっと強くなれると思いました」
村竹は今回、体が浮かないようにするために重心を少し低めにしていたように、トラックの硬さなどに応じて微調整を加えられるのも大きな強みだ。しかし一方で海外選手と比べて身長がやや低いため、どうしてもハードルに当てることも多い。当てることでの減速をいかに最小に抑えるかなども今後の課題になってくるだろう。
12秒89の元米国記録保持者で現在コーチをしているオリバーは村竹の走りについてこう指摘する。
「ハードル間で上体が立ち上がりすぎている印象を受けた。米国ではハードルにダイブ(飛び込む)しろと教わったし、自分もそう教えている。そうすれば抜き足がぶつかる確率が減る。その点を改善すればよりタイムは伸びると思う」
身長や体格などでフォームや戦略は異なるので、この指摘が村竹に参考になるとは限らないが改善の余地は要所にあるのかもしれない。
「今日は自分のレーススタイルは40%くらいしかできなかった。日本国内ではできますが、世界、特にこういう舞台だとすごい難しいなと。まだまだ経験が足りないなと思いました。最大の目標は東京世界陸上でメダルを取ることです。ゴールして結果を見てすぐに来年こそは絶対メダル取ってやるというふうに思えたので。逆襲してやりたいと思います」
22歳の村竹の東京での逆襲を期待したい。