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「なんで地上波ないの」無敵の藤波朱理でも…メダルラッシュのレスリングがあまりライブ放送されない深い(?)ワケ「ぜひ、という意欲が…」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2024/08/11 17:00
レスリング女子53kg級で無敵の強さを見せた藤波朱理の試合も、地上波のライブ中継はなかった
ただ、女子の50kg級の3位決定戦、決勝が行われた8月8日未明はNHKでライブ放送された。
「須崎さんの連覇への期待に関心が集まるという見立てでしょうね」(同前)
「生中継をぜひ、という意欲がなかった」
そしてこう続ける。
「競技の時間帯もありますが、やはり地上波で生中継をぜひともしたい、という意欲がなかったというのが大きいでしょうね」(同前)
こうしたさまざまな事情もあり、地上波でのライブ中継は行われなかった。
そのことはレスリングの現在の位置を示してもいる。そしてそれを、レスリング関係者も認識している。
「もっとみんなに観てもらえる、関心を持ってもらえる競技に」
勝つことで、関心を持ってもらいたい
だからレスリングの選手やコーチは、相対的に取材に対して協力的であり、それは多くのメディアが知るところだ。また、だからこそオリンピックで好成績を、という強い思いもある。男子がお家芸と言われた時代があり、それを継承したいという意気込みとともに、勝つことで関心を持ってもらえる、という意識がある。
藤波も、以前は連勝記録に注目されることがプレッシャーになったと言う。
「でも今は、注目してほしいと思っています。それがレスリングを知ってもらう機会になるので。だからパリでも優勝したいですね」
開幕をひと月ほど後に控えた折、抱負をこう語っている。
地上波でリアルタイムには流れなかったかもしれない。でも間違いなく彼らの優勝は、そのインパクトを残したはずだ。