オリンピックへの道BACK NUMBER
「なんで地上波ないの」無敵の藤波朱理でも…メダルラッシュのレスリングがあまりライブ放送されない深い(?)ワケ「ぜひ、という意欲が…」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2024/08/11 17:00
レスリング女子53kg級で無敵の強さを見せた藤波朱理の試合も、地上波のライブ中継はなかった
オリンピックはNHKと民間放送連盟で構成する「ジャパンコンソーシアム」が放映権料を支払っている。
そのため、放送する競技は、まずNHKと民放連で話し合って割り振られる。そして、民放連で中継することになった競技を、今度は民放連内で話し合い、どの局が中継するか決めていく。
目玉競技はNHKが持っていく
「当然、『目玉』と考える競技はどの局も放送したいと考えます。NHKもそうですし、民放もそうです。ただ、ほんとうに大きいところは放映権料の多くを負担しているNHKが持っていきますね。例えば2022年の北京五輪だったら、フィギュアスケート男子フリーがそうです。これはNHKが中継しています。パリ大会でも、例えば柔道で注目の高かった2日目の敗者復活戦から決勝の時間はNHKでした」(前出・広告代理店担当者)
柔道の2日目といえば、男子66kg級と女子52kg級の開催日。阿部一二三、詩の兄妹が出場した日だ。
「一方で、民放側に割り振られた中で関心の高い競技に対しては、また各局ともに放送したいわけですから、抽選で、みたいなことも起こることになります」(同前)
そうした関心の高さに加え、今回、レスリングが地上波での生中継に至らなかった要因が他にもあるという。
メダルマッチが深夜帯になるという不利
「人気のある競技であることと、放送時間もかかわってきます。深夜ならどうしても観る人の数は減ってきますから。放送の権利は持っていたとしても放送しないという判断はビジネスも踏まえ、レスリングに限らず起こります」
レスリングの場合、メダルが決まる試合の時間帯は深夜~未明にあたる。その点でも不利ではあっただろう。