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「なんで地上波ないの」無敵の藤波朱理でも…メダルラッシュのレスリングがあまりライブ放送されない深い(?)ワケ「ぜひ、という意欲が…」
posted2024/08/11 17:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto/JMPA
パリ五輪でレスリングが快進撃を続けている。
8月10日時点で、金メダルは女子の藤波朱理、櫻井つぐみ、元木咲良。男子では樋口黎、文田健一郎、日下尚。銀メダルを男子の高谷大地、銅メダルを女子の須崎優衣、尾崎野乃香が獲得している。
さらに最終日の8月11日にも、女子76kg級決勝に鏡優翔、男子フリースタイル65kg級決勝に清岡幸大郎が出場する。
かつての「お家芸」復活か
137連勝へと記録を伸ばすことになった藤波の優勝をはじめ女子は全階級でメダル獲得。それに劣らず、男子の活躍もめざましい。
男子のこれまでの金メダルを振り返れば、1964年東京五輪で計5個、1968年メキシコ五輪で計4個の金メダルを獲得し「お家芸」とも言われた。だが、1988年ソウル五輪で2個獲ったあとは、2012年ロンドン五輪で米満達弘が獲得するまで世界一に届く選手はいなかった。米満のあとも、東京五輪で乙黒拓斗が獲った1個に限られる。
しかも2種目あるうち、どちらかと言えば苦戦を強いられてきたグレコローマンで、1984年ロサンゼルス五輪以来となる金メダルを文田、日下の2人が獲ったことも特筆される。
地上波で放映がない…
ただ、それらの活躍は、地上波においてライブで観られる機会は限られた日のみで、ほぼないに等しかった。決勝で圧勝劇を見せた藤波の試合も、櫻井や文田の決勝も中継されていない。藤波に限らず、他の競技の中継後に録画で、あるいはニュースで取り上げられる、というケースばかりだった。NHK-BSでこそライブで放送されていたが、やはり地上波放送がないことの影響は小さくない。
「どうしても放送したい、という熱意をもった局がなかったということではないでしょうか」
広告代理店でオリンピックに携わる担当者はこう話した。