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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「大谷翔平、三冠王への問題は打点じゃなく打率です」NHK解説者が語る、“すぐに不調と言われがち”大谷の異常さ「テレビなのに大谷だけ打球音が違う」
text by
沼澤典史Norifumi Numazawa
photograph byAFLO
posted2024/08/09 17:00
現地8月5日、フィリーズ戦で34号ホームラン。本塁打ランキング2位オズナとは1本差となっている(8日現在)
「40盗塁は越えます」
一方、バッティングだけではなく、今季の大谷は走塁でも魅せている。7月だけで12盗塁し、現在シーズン28盗塁となった。このことから、武田氏は大谷へ大記録を期待してやまない。
「7月はよく走ったね。シーズン40盗塁は越えます。40-40はおろか50-50も達成するんじゃないでしょうか」
40-40とは1シーズンで40本塁打以上と40盗塁以上を同時に達成することを指すが、MLB史上、これを達成した選手は5人しかいない。無論、50-50は前人未到の領域である。今年の大谷は打者に専念しているため、攻撃時に体力を温存する必要がなくなったことも、今年は盗塁数が増えている要因だ。
「あのスイングで打率を残せるのは異常ですよ」
また、武田氏は大谷の好調を示す指標として、打率を挙げる。
「7月を終わって、打率.311。日本時間8月1日の試合終了時点で3割9厘に落ちましたが、ここまで3割1分を常に切るか切らないかをキープしてきたのは、好調のしるしです。連打が出ると、315や.316まで伸びるため、首位打者も十分とれます。首位打者のライバルとなるアラエス(パドレス)は、好打者らしいコンパクトなスイングですが、大谷は常にホームランを狙う大きなスイング。あのスイングで打率も残せるのは異常ですよ。大谷は、逆方向にも強い打球を打てるので、ヒットを狙おうと思えば打つことも可能だと思います。でも、自分に求められているのは、ヒットではなくホームランだということがわかっているのでしょう」(※8日時点で、打率.302)
さらに、大谷が打率を残しているのは四球の数も関係しているという。
「大谷は7月もそうですが、大体1試合に1つは四球をもらっています。四球が増えると打数が減るので首位打者争いには有利です。1試合4打席として、ヒットが1本でも四球が1つあれば、打率は.333なんです。無死二塁、一死二塁などチャンスの場面で勝負を避けられることもありますし、今後ベッツなどの離脱メンバーが復帰すれば、塁上にランナーがいる機会も増えますから、四球は増えるでしょう。となると1試合1本ヒットを打てば、打率はそうそう下がらないわけです」
「三冠王への問題は打点ではなく打率」
今シーズンの大谷の調子を考えると1試合1安打は難しいことではないだろう。また、今シーズンの大谷に調子の波が少ない理由を武田氏はこう分析する。