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「俺、負けたわ…」男子100m金ライルズがゴール後に誤認! わずか5センチが命運を分けた五輪史上最大の激戦…サニブラウンも「レベルが全然違う」
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byGetty Images
posted2024/08/08 11:15
パリ五輪男子100m決勝レースは1位から8位までが0秒13差という史上稀にみる大激戦。金メダル争いは写真判定の結果、わずか0秒005差でライルズ(米国)が制した
東京五輪での惨敗後、スタートの向上、パワー、そしてメンタル強化などありとあらゆる部分に注力し、2022年世界陸上オレゴン大会では200mで金メダル、400mリレーで銀メダル、そして昨年の世界陸上ブダペスト大会は100m、200m、400mリレーの3冠を達成した。
今季は急激に台頭したトンプソンが6月のジャマイカ五輪代表選考会で今季世界最高の9秒77を出すなどライバルも出現したが、ライルズは自分を信じ続け、栄冠を手にした。
戦国時代の男子スプリント
世界最速の座に長く君臨したジャマイカのウサイン・ボルトが2017年に引退した後、男子スプリント界は戦国時代に突入し、世界最速の称号は毎年、異なる選手が獲得している。
2017年世界選手権ロンドン大会 ガトリン(米国)
2019年世界選手権ドーハ大会 コールマン(米国)
2021年東京五輪 ヤコブス(イタリア)
2022年世界選手権オレゴン大会 カーリー(米国)
2023年世界選手権ブダペスト大会 ライルズ(米国)
シーズン前はライルズが本命と思われていたが、ジャマイカのトンプソンが急成長し、一気に金メダル候補に躍り出た。
今大会の予選ではトンプソンの動きが良かった一方、ライルズは硬さが見られた。準決勝でトンプソンが9秒80で首位通過すると、決勝ではトンプソンを推す声が多くなった。
90mではトンプソンが0秒01先行も…
迎えた決勝は1位から8位までが0秒13以内にフィニッシュするスプリント史に残る戦いになった。
飛び出したのは3レーンのカーリーと9レーンのヤコブス、30m地点ではトンプソンがわずかに前に出た。トンプソン(3秒84)、ライルズ(3秒90)でこのレース最大の0秒06差がつく。
50m通過はトンプソン(5秒56)、カーリー(5秒58)、ライルズ(5秒61)でトンプソンとライルズの差がわずかに詰まる。