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プロ野球PRESSBACK NUMBER
坂本勇人“だれも指摘しない”不調だった原因…元ロッテ名選手が語る「守備転向の難しさ」門脇誠かモンテスか…巨人“ポスト坂本”の重圧
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byNanae Suzuki
posted2024/08/10 11:02
昨季からサードに転向した坂本勇人(巨人)
データも証明「転向後に低迷する問題」
「打球に対して反応さえできれば、あまりポジショニングを考えなくても守れる。キャッチャーがピッチャーに送るサインが見えないですから、守備位置の工夫も限られる。運動量も思考量もかなり減るんです。周りは負担が少なくなって良かったと思うかもしれないけど、グラウンドを支配していた感覚がなくなるから『都落ち』と感じてしまう。坂本はショートとサードの違いにギャップを覚え、その気持ちがバッティングに影響したと思います。『サードだから、もっと打たなくちゃいけない』という焦りも悪循環を生んだのでは」
過去の名ショートも葛藤と戦っていたのかもしれない。西武の石毛宏典は1986年、打率.329、27本塁打、89打点でパ・リーグのMVPに輝いた。しかし、翌年サードに配置転換されると、打率.269、11本、41打点と大幅に成績を落としている。広島の高橋慶彦は1980年代後半から下降期に入っていたが、ロッテ移籍の1990年に指名打者での起用が増えて打率.207、9本、28打点と絶不調に陥った。
「後半戦に入って、坂本はモンテスの加入で尻に火が付き、優勝という目標も現実的になってきた。つまり、コンバートによるメンタル的な悩みが解消しやすい状況になった。これは、最近の復調(8月の打率.348)と大きな関係があると思います。もし坂本が不調のままだったら、阿部監督が一度、ショートで使っても面白いかなと感じていました。野球の楽しさを思い出す機会になり、いい気分転換になるからです」
坂本の完全復活は、4年ぶりの優勝に欠かせない。そして、黄金時代到来にはショートの固定が必須になる。定位置を勝ち取るのは門脇か、泉口か。それとも……。
<「源田壮亮でも今宮健太でもなく…プロ野球“歴代No.1ショート”は誰?」編につづく>