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坂本勇人“だれも指摘しない”不調だった原因…元ロッテ名選手が語る「守備転向の難しさ」門脇誠かモンテスか…巨人“ポスト坂本”の重圧 

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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posted2024/08/10 11:02

坂本勇人“だれも指摘しない”不調だった原因…元ロッテ名選手が語る「守備転向の難しさ」門脇誠かモンテスか…巨人“ポスト坂本”の重圧<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

昨季からサードに転向した坂本勇人(巨人)

「守備の技術が変わることはあり得ません。上手い選手は練習を重ねて、さらに磨かれていく。だから、門脇は『巨人のショート』というプレッシャーに負けたのだと思います。ルーキーの年は無我夢中でプレーできたけど、2年目になってジャイアンツの重みを理解してしまった。しかも、坂本の後継者という位置付けですからね。1年の中で、打てない時期は誰でもある。スランプの時、必要以上に重圧を感じてしまったのでしょう。その連鎖で、守備に悪影響が出てしまったのでは。逆に言えば、泉口は門脇というワンクッションが置かれたことで、助かっている部分もある。モンテスは坂本をよく知らないはず。これは逆に強みになるのでは」

 ゴールデン・グラブ賞に5度輝き、通算2387安打を積み上げてきた坂本の後釜に座れば、ファンはどうしても比較してしまう。巨人では古くは原辰徳が長嶋茂雄や王貞治、近年では小林誠司が阿部慎之助と対比されてきた。

「周りは良い場面ばかり覚えてますからね。でも、坂本だって若い時はよくエラーしていたし、始めから打ちまくっていたわけではない。そこを忘れて、2年目の門脇を脂の乗った頃の坂本と比べるのは酷です」

坂本勇人が絶対的ショートになるまで

 坂本が1年目の2007年、水上は日本ハムの二軍内野守備コーチとして、イースタン・リーグで対戦していた。試合前の打撃練習に驚愕したという。

「ずっとフルスイングでホームランを狙っていたんです。二軍の首脳陣だった岡崎(郁)に『これでいいの?』と聞くと、頷いていました。ホームランも打てるバッターに育てるという明確な方針があった。ただ、守備はボロボロでしたよ。他チームの私が心配になるほどでしたから」

 坂本は新人の年、遊撃手のイースタン最多タイの13失策を記録。それでも、打撃力と将来性を買われ、2年目には開幕一軍を勝ち取り、二岡智宏からポジションを奪った。一方、失策数はセ・リーグ最多タイの15を数え、08年から4年連続で遊撃手のリーグワーストを記録。守備範囲が広いゆえのエラーも多かったが、若い頃は名手とは呼ばれていなかった。

【次ページ】 サードに転向…坂本はなぜ打撃不調?

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