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バドミントン渡辺勇大&東野有紗が銅 “わたがし”ペアとフィギュア“りくりゅう”ペアの共通点「1+1を2より大きくする」2人の「相性以上」のもの
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2024/08/03 20:00
「余り者同士」の「奇跡」の相性の良さから、わたがしペアの長い旅がはじまった
「あとはお互いの思いやりですね」
同じペアで長く力を発揮できる理由
三浦と木原は5シーズン、年月を重ねてきた。
渡辺と東野は最初に組んだときから数えると13年目になる。
数字は異なるが、どちらも相応に長い歳月を過ごしてきた。
彼らに共通するのは、最初に組んでみたときの、絶妙な相性のよさだ。それはプレーであったり技術であったりする面で感じられたのだろう。
でもそれだけで強くなれたわけではない。
コミュニケーションとリスペクト
最初に感じた相性のよさを時間をかけて育ててきたのは、コミュニケーションであったことで一致している。そこに加えれば、敬意という言葉があてはまる相手への気持ちではないか。
3位決定戦のあと、東野は渡辺について「もう感謝でしかないですし、ほんとうに勇大くんと出会ってよかったなと思ってます」、渡辺は東野について「ほんとうに助けてもらってばっかで」と語った。
相手に抱く敬意という点でも、渡辺と東野、三浦と木原は共通する。だから1+1の答えを2よりもっと大きくできた。1人でなく2人であることがマイナスにならず、大きくなれた。
前日の準決勝で敗れ、時間もあまりない中で迎えた3位決定戦。
「夜、眠れなくて、試合のこととかを考えてしまう時間がすごく多かったので切り替えが難しかったんですけど」
と東野は言う。立て直せた要因もまた、渡辺にあった。
「次の日、勇大くんの覚悟の表情を見たとき、自分も切り替えなきゃなって思いました」