彼はビルドアップにも関わることができています。対戦相手が前線からハメにくると、このチームは無理をしません。小久保を使ってサイドを変えて、相手の守備の出方を探る戦いができている。フル代表でもU-23代表でも、守備の練度はクラブレベルに比べると高くないので、相手をしっかり見た状態でプレーできているのですが、小久保のビルドアップのスキルはチームの助けになっています。

“個”でも劣らない日本「全員の名前を挙げたいぐらい」

　グループリーグでは4-3-3のシステムで優位性を生み出してきましたが、いつでもきれいに崩すことはできません。最後のところでは、「個」で剥がすといったことが必要です。そういう意味で、マリ戦で決勝点を演出した細谷のプレーは「すごい」と思わせてくれました。アフリカ人選手を相手に、80分過ぎにああいう馬力のある突破ができるのはホントに頼もしい。同じことは小久保にも、CBの木村誠二や高井幸大にも、藤田にも言えます。彼らだけでなく、全員の名前を挙げたいぐらいです。

マリ戦の終盤、右サイドを独力で突破する細谷真大。山本理仁の決勝点を演出した　©Takuya Nakachi/JMPA

　大岩監督と選手たちは、4-3-3というシステムでいかに世界と勝負するのかを、チーム結成時からコツコツと積み上げてきたと思います。4-3-3の本家と言ってもいいスペインに、いまの日本がどこまで通用するのか。どうやって突破口を見出すのか。指導者としても、サッカーファンとしても、これ以上ないぐらいに楽しみな一戦です。

＜前編とあわせてお読みください＞