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堀米雄斗「大逆転劇」の裏側で…154cmの世界ランク1位が“まさかの予選落ち” 小野寺吟雲(14歳)「敗北の真相」とそれでも感じた「無限の可能性」
text by
吉田佳央Yoshio Yoshida
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2024/08/02 11:02
世界ランク1位で臨んだパリ五輪でまさかの予選落ちに終わった14歳の小野寺吟雲。それでも随所にその可能性を感じさせてくれた
では、なぜそう思うのか。
それほど彼のパリオリンピックに至るまでの快進撃が凄まじかったからだ。
筆者が小野寺を初めて見たのは今から約5年前、日本スケートボード協会の全日本ジュニア選手権の時だった。その前から彼のことはホームとしている静岡のF2O PARKのオーナーから聞いていたのだが、すごく丁寧にトリックを繰り出す姿に「基礎がものすごくしっかりしているな」という印象を受けた。
話に違わない将来性を感じた自分は彼を撮影したい衝動に駆られ、自らお願いしてプライベートで撮影させてもらったこともあるほどだった。
それからの彼は、常人には考えられないようなスピードでスーパースターへの階段を駆け上がっていった。
この2年間での小野寺の「驚異的成長」
特にこの2年はスピード出世どころの話ではない。なぜなら彼は2022年の夏、まだ国内のアマチュア戦、しかも関東の地区大会に出ていたからだ。コロナ禍を経て3年ぶりの開催であったことを差し引いても、とんでもない偉業であることがわかると思う。
そこを当然のようにぶっちぎりのスコアで優勝すると、次はわずか半年足らずで日本選手権を制覇。翌年初頭には世界選手権で表彰台に上がり、5月にはアクションスポーツにおける世界最高峰の国際大会、X Gamesでもチャンピオンに。しかも史上最年少記録というおまけ付きだ。
そこからの彼は世界を舞台にしても常に安定した成績を残し、ついには世界ランク1位でパリ五輪までたどり着いた。これだけを聞けば、彼のサクセスストーリーはパリで一旦、有終の美を飾ることになると考えても不思議はないだろう。