オリンピックPRESSBACK NUMBER
「ガンバ!」「グッジョブ」他国の監督からも称賛の声…宮田笙子は不在でも「5人で戦ってるつもりで」体操女子、選手たちの“笑顔の理由”
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2024/07/31 17:02
7月30日、女子団体決勝を終え、笑顔で記念撮影をする選手たち
“4人姉妹の長女”のようにまとめ上げた牛奥
4人の中でただ1人の世界選手権経験者。「オリンピックという舞台で緊張感はあったんですけど、それでも世界戦を経験したからこそ、『自分は大丈夫。練習通りいつも通りやれば大丈夫』と考えながら冷静にできたのはすごく良かったかなと思います」と胸を張った。
仲間同士で励まし合いながら4種目を乗り切った。
「不安や頭の整理をできない部分はあったんですけど、それでも前を向けた。チームのメンバーも『自分がやることをやるだけだから』と4人がしっかり次を見て前に進んでいた」と振り返った。
ADVERTISEMENT
最年長の牛奥は、決勝では跳馬1本の出場。
「一瞬で終わってしまう種目。成功、失敗が分かりやすい種目でもあって、緊張はあったんですけど、会場の雰囲気に飲み込まれることなく、自分のやるべきことをしっかりとやることができた」と笑顔を見せた。
年下の選手たちにこまめに声を掛けて気持ちを落ち着かせたり、鼓舞したりする姿はまるで4人姉妹の長女の風情でもあった。難しい状況で五輪を戦わなければならなくなった中で、チームが終始落ち着いていた背景には牛奥の声掛けがあった。
「4人で戦うということに最初は不安はあったんですけど、それでもみんなのやるべきことは変わらないですし、そこまで引きずることなく、自分自身もみんなもちゃんと試合に臨むことができた」
ミスで涙を流した中村だが…
入場時には宮田のゆかの演技のフィニッシュポーズを4人で披露。牛奥は意図をこのように説明する。
「みんなで話し合って、やっぱり5人で戦っているということを忘れずにしっかりとやりたいという思いを込めて、笙子の印象的なゆかのポーズをやろうと決めた。人数的には4人なんですけど、みんなが5人で戦ってるつもりで演技していました」
平均台と段違い平行棒のミスで涙を流していた中村は、「テレビで見てた時もすごいなと思ってたんですけど、実際この舞台に立ってみて想像してたよりも歓声がすごく、今日は完全にその雰囲気に飲み込まれてしまったと思います」と振り返ったが、試合後はすでに気持ちを切り替えていた。
「大丈夫だよとみんなに励ましてもらって、団体ってやっぱりいいなと感じました。自分のミスで順位が下がってしまって申し訳ない気持ちとかもあるんですけど、楽しめたのかなっていう風には思っていて、またこのメンバーで戦いたいな、と思っています」(中村)
岡村は試合後も目をキラキラさせていた。
「憧れていたオリンピックという舞台で演技できたことがすごく楽しかった。目標としていたメダルには届かなかったし、平均台でもっといい演技ができたなという悔しさはあるんですけど、全部含めて楽しかった」