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[王者が見せる自信]橋本大輝「もう一度みんなで笑うために」
posted2024/07/26 09:06
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Asami Enomoto
東京五輪で体操男子の新たなエースに成長。しかし、パリまでの道のりは平坦ではなかった。追われる者としての宿命を背負いながらも、個人はもちろん、悲願の団体Vへの想いを明かす。
史上最年少の19歳で男子個人総合と種目別鉄棒の2冠に輝いた東京五輪から、3年が経った。体操ニッポンの絶対エース、橋本大輝。金メダリストの風格と屈託のない笑顔が同居している22歳にとって、2度目の大舞台となるのがパリ五輪だ。
「東京五輪が終わってからは早かったですね。でも早かった分、内容の濃い3年間でもありました」
ただ、東京五輪後は決して楽な道のりではなかった。
金メダルを手にしてから最初に悔しさを味わったのは、東京五輪を終えてわずか3カ月後の2021年10月だった。北九州での世界選手権で、中国の新鋭・張博恒に0.017点差で個人総合の優勝を許し、2位にとどまったのだ。張が東京五輪に出場していなかったのに対し、橋本は9月の全日本学生選手権にも出場してから世界選手権に臨んでいた。そのため体は疲労困憊していた。しかし、橋本は言い訳ひとつしなかった。
「勝ちきれないのは弱さがあったから。来年からまた頑張れる理由ができた。ライバルがいてまた強くなれる」
潔く、爽やかだった。そして、心に誓った通りに努力を重ね、1年後の'22年リバプール世界選手権では張を抑えて有言実行の個人総合初優勝。「北九州での世界選手権で悔しい思いを経験したからこそ、もう一度『自分の体操、日本の体操が世界一であることを証明したい』という思いが湧き上がっていました」と胸を張って言った。