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「オオタニは最高の打者だし…」大谷翔平から三振を奪って“ヒーローになった男”も…「なぜ抑えられた?」対戦投手と監督が明かした“警戒度”
text by
水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byGetty Images
posted2024/07/27 11:05
レッドソックス戦でソロホームランを放った大谷翔平
大谷に与えた四球、見えた執念
ジャイアンツの先発左腕ブレーク・スネルにとってもそうだった。
昨季パドレスで2度目のサイ・ヤング賞に輝き2年総額6200万ドルの大型契約でジャイアンツ入りしたスネルは、開幕から大乱調が続き期待を裏切る結果になっていた。それでも7月以降は復調の兆しが出始め、2試合連続で無失点と好投。そして迎えたのが7月22日のドジャース戦での登板だった。
大谷に対し、1回先頭の第1打席で1ボール2ストライクからの4球目に顔の高さに96マイル(約155キロ)のフォーシームを投げ、上体をのけぞらせた。身長193センチの大谷の顔の高さに恐ろしく高く速い球。結局、この打席で四球を与えたのだが、この1球にスネルの勝負にかける執念が現れていた。そして3回の第2打席では外角低めのカーブで空振り三振、6回の第3打席ではスライダーでファウルを取ってからの2球目カーブで一ゴロに仕留め、2打数無安打と大谷を抑え込んだ。
「気持ち的にもいい状態。球の質も戻ってきたし、より良い配球もできている」
一番打たせたくない打者である大谷を封じたことで、復活への自信をさらに深めているのがわかった。
大谷から三振を奪い「ヒーロー」になった選手
敵チームのクラブハウスで、一番名前が挙がる打者はやはり大谷だった。レッドソックスのアレックス・コーラ監督は「ドジャースにはオオタニのような打者がいる、本当に手強い打線」と口にし、ジャイアンツのボブ・メルビン監督も同様のことを語っていた。フレディ・フリーマンやウィル・スミス、テオスカー・ヘルナンデスといった優れた打者がそろうドジャース打線だが、敵にとって最も警戒する存在はやはり大谷なのだ。
大谷を三振斬りしたことで、たちまちヒーロー並みの扱いを受ける投手もいた。ジャイアンツの新人左腕エリック・ミラーがそうだ。リリーフ投手として今季開幕でデビューしたミラーは、ここまで大谷と対戦するたびに三振を奪い5打数5三振。7月22日からの4連戦でも大谷と2度対戦してそのキラーぶりを発揮した。試合前のクラブハウスには、その秘訣を聞こうと日米の報道陣が集まっていた。ジャイアンツのベテラン番記者の1人がミラーに「みんなが話を聞きたがってるんだけど」と声をかけると、まんざらでもなさそうな表情で記者たちに囲まれた。
「どうしていつも三振が奪えるのか、自分でもよく分からないんだ。たぶん彼の弱点にうまく投げているのかな。高めの速い球とか、外角のスライダーとかね」