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初G1で大暴れ…竹下幸之介29歳は新日本プロレスにとって“最強の外敵”か?「見ている世界が違う」辻陽太との激闘で示した“ホンモノの強さ”
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2024/07/24 17:02
新日本プロレス『G1 CLIMAX 34』に参戦中の「KONOSUKE TAKESHITA」こと竹下幸之介(29歳)。辻陽太とジェフ・コブを相手に開幕2連勝を飾った
「オレとお前らじゃ、見ている世界が違うんだよ」
飯伏幸太がG1に出ていた時、18歳の竹下は一度だけ大阪でそのセコンドについたことがあった。中邑真輔戦だった。
その竹下が「KONOSUKE TAKESHITA」としてついに新日本のリングに上がることになった。運命というものはわからない。
予感のようなものがあったのだろうか? なぜか「新日本プロレスが近くなった」と感じるようになっていた竹下は、その時がいつ来てもいいように準備を怠らなかったという。
29歳といういい年齢。大型の選手が少なくなった新日本プロレスのリングで、身長187cmで体の厚みもある竹下はその存在感を示すことになる。
年齢的にも体型的にも竹下とちょっと似ている30歳の辻も、同じく日体大出身で面白い存在だ。
二人の試合にはプロレスの醍醐味があった。オーソドックスなスタイルから互いの空中戦もあった。辻のタックルに竹下はカウンターのヒザを見舞った。
そして訪れたフィニッシュの瞬間。竹下はレイジングファイアー(旋回式ファルコンアロー)で辻をフォールした。
「オレとお前らじゃ、見ている世界が違うんだよ。そして見せたい景色も違うんだ。オイ、辻陽太、新日本プロレスを世界一の団体にしたい? その気持ちはな、十分伝わったよ。でもな、お前はどうなりてえんだよ? もし、また遠い未来、オレとお前がリングで交わる時があるなら、その時は、お前のプロレスの声を聞かせてくれ」
敗れた辻は言った。
「この戦いは、竹下が勝ったんだ、辻が勝ったんだ、竹下が負けたんだ、辻が負けたんだ、そんな簡単に語れる戦いじゃねえんだよ。新日本だけじゃない、DDT、AEWだけじゃない。今後10年、いや20年、『あの時の試合はどうだった?』ってプロレス史に語り継がれる一戦なんだよ。オレはその大事な試合を落とした。でも、まだG1は終わっちゃいない。オレにはあと8回の戦いがある」