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中谷潤人の“残酷なボディ”一撃で挑戦者が悶絶「呼吸ができなかった」…戦慄の157秒KOはなぜ起きた? 井上尚弥戦実現へ「もっと大きくなる」
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2024/07/21 17:00
わずか157秒で挑戦者を退け、雄叫びをあげるWBC世界バンタム級王者の中谷潤人。1階級上の“モンスター”井上尚弥とのメガマッチも現実味を帯びてきた
「井上尚弥との対戦」実現までのシナリオとは
中谷の目標はPFPランキングで1位になること、世界でナンバーワンと認められるボクサーになることだ。そのためには“モンスター”井上の存在が必要になる。井上との対戦を本気で周囲から望まれるためには、まだまだ“格”を上げなければならないのは百も承知。そこでまず手をつけたいのが団体間統一戦だ。バンタム級は現在、井上拓真(大橋)がWBA王者、西田凌佑(六島)がIBF王者、武居由樹(大橋)がWBO王者で日本人選手が4団体王座を独占している。
中谷が「対戦すれば自分を高められると思う」と希望しているのが井上尚弥の弟である拓真との統一戦だ。拓真も統一戦を望んでいるが、西田という選択肢もあるし、指名試合との絡みもあり、すぐに実現するかは不透明。それでもそれぞれが王者でいる限り、来年は統一戦が動き出すのではないだろうか。
中谷は試合後、リング上から「この試合で統一戦ということを、みなさんが大きく意識してくれたらいいなと思っていたので、どうでしたか? このバンタム級で統一戦をして、(階級を)上げるか、もっと大きな試合をしていきたいと思います」とアピールした。“モンスター”井上との対戦も「(自分が)大きいものになれば自ずと実現すると思う」と言ってのけた。
2試合連続でパーフェクトな試合を披露し、いつもニコニコとあどけない印象もあった中谷に王者の風格が漂ってきた。脂の乗ってきたチャンピオンはこれからが黄金期だ。期待はますます膨らむことだろう。