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「カイシュウ…残念だ」日本代表MF“性犯罪で逮捕”にブラジル人記者が怒り「ロビーニョらと同じく台無し」「選手全員、肝に銘じてほしい」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2024/07/21 11:00
佐野海舟の件について、ピッチ内でのプレーを評価していたブラジル人記者に話を聞いた
「ブラジル人フットボーラーの多くは貧困家庭の出身で、家庭や学校による教育が不十分であることが多い。選手は10代前後からフットボール漬けになり、クラブの選手寮に入る者も多いから、クラブは彼らに教育を施す役割も担う。間違った言動をしたらすべてを失い、選手生命が終わりかねないことを繰り返し選手たちに伝えている。それでも、犯罪や不祥事がなくならないのが現実だ」
――犯罪・不祥事に対する日本フットボールの対応について、見解を聞かせてください。今年1月から2月にかけて行なわれたアジアカップの期間中、伊東純也の性加害疑惑が週刊誌で報じられ、伊東は日本代表から離脱する騒動が起きました。その後、伊東が準強制性交等致傷などの疑いで、女性2人が虚偽告訴の疑いでそれぞれ書類送検されました。
「伊東の場合、所属するスタッド・ランス(フランス)ではプレーを続けているが、日本代表では招集が見送られる状況が続いている。日本は総じて安全な国で、犯罪件数が少ない。それと同時に社会の規範が厳しいだけに、犯罪や不祥事に対する社会的制裁も一層厳しい側面があるのだと思う」
最終的な責任は本人。ただ注意を喚起する必要が
――Jリーグ発足から31年。日本のフットボール関係者は膨大な努力を続け、人気、プレゼンス、影響力を高めてきました。しかし、このような不祥事が続けば、日本のフットボールの地位が低下しかねません。
「その通り。それだけに、日本のクラブと日本サッカー協会は、断固たる決意を持って選手やクラブ関係者の注意を喚起する必要がある」
――ただ、そういう努力はこれまでもやってきていると思います。抜本的な解決策はないのでしょうか?
「完璧な解決策はないと思うよ。周囲が注意を喚起し、必要なサポートを与えるべきだが、最終的な責任は本人にある。これは一般人と同じだけど、選手は社会的な責任がより大きい。何より、子供の頃から営々と積み上げてきた努力がすべて無駄になる。そして、それまで自分を支えてくれた家族、指導者、クラブ関係者、そしてファンに大きな失望を与えてしまう。そのことを、選手一人ひとりに肝に銘じてもらいたい」
菅原、伊藤洋、彩艶とともにステップアップのはずが
今回の佐野海舟逮捕のニュースは、瞬く間に世界を駆け巡った。
事件の詳細はまだ不明で、警察は認否を明らかにしていないが――鎌田大地や菅原由勢がプレミアリーグ移籍を決断し、伊藤洋輝はドイツの名門バイエルン、鈴木彩艶はセリエAパルマ加入が決まるなど、日本代表選手が今夏の移籍市場で最高峰レベルへの挑戦やステップアップを果たし、充実の時を迎えている。その中で、彼らと同じく今夏にヨーロッパでのキャリアを歩み始めるはずだった佐野の不祥事は、世間的に見てフットボール界全体の大きなイメージダウンとなる。
チアゴ記者が語る通り、選手を含めた日本のフットボール関係者全員が今回の事件を重く受け止め、不祥事の再発防止に全力を尽くしてほしい。