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ボクシングPRESSBACK NUMBER
那須川天心が“KOできない”批判に本音「掌を返すならいまだぞ、と」なぜ賛否両論を楽しめる? 世界王者・武居由樹との対戦は「いずれ必ず…」
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2024/07/17 11:03
7月4日の公開練習で汗を流す那須川天心。20日のプロボクシング4戦目でWBA世界バンタム級4位のジョナサン・ロドリゲスと対戦する
“天心戦に意欲”武居由樹へのアンサー
わけても去る5月6日、東京ドームでジェイソン・モロニー(豪州)を判定で破り、WBO世界バンタム級王者となった武居由樹(大橋)との一戦を期待する声は多い。武居もキックボクシング出身で、新生K-1でスーパーバンタム級王者にまで上り詰めた実績を持つ。しかも、両者はアマチュアキック時代に対戦した経験まであるのだ。
武居は天心戦について「やらなくちゃいけない試合」「彼が来るのを待っている」と明確な意欲を示している。先に世界王者になった武居からのラブコールに、世界ランカーの天心も「(自分は)人気者ですね」とうれしさを隠さない。
「実現したら、絶対盛り上がるでしょうね。ただ、僕は次で4戦目。まだ経験を積んでいる時期ですが、『いつか絶対にやる試合』ととらえている。武居選手との一戦は、いい熱の作りどころだなと思っています」
世間は天心が武居に挑戦することを待ちわびているようにも見受けられるが、天心にとってそのタイミングは「いま」ではない。「近い将来」という表現が適切か。試合で見せる人並み外れたスピードとは対照的に、キャリアを積み上げていく過程にいる天心のステップは意外なほど堅実だ。
急がない? と質すと、天心は深く頷いた。
「いつかはやると思っているので、そんな“飛び級”は考えていない。本当、ひとつひとつ進んでいって、いずれ必ずやる、と。だから『すぐにでもやりたい』とは思わないですね」
世間の「もっと、もっと」という思惑とは裏腹に、天心はボクサーとしての歩みを無理に早めようとはしない。むしろ常に一定のペースで進むことを心がけているようにも見え、そこから確固たる信念が感じられる。
「やっぱり世間は急かしすぎなんですよね。いまは飛び級が流行っているみたいですけどね。『SNSで有名に』とか『バズりたい』とか、近道ばかり捜そうとする。いやいや、そんなんじゃないよ、と。やっぱり成功する秘訣は一歩一歩着実にやっていくこと。飛び級させたがる人もいるし、選手もそれがすぐできると思っちゃっていますからね。違うよ、現実を見てよと言いたい」