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那須川天心が“KOできない”批判に本音「掌を返すならいまだぞ、と」なぜ賛否両論を楽しめる? 世界王者・武居由樹との対戦は「いずれ必ず…」 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byHiroaki Yamaguchi

posted2024/07/17 11:03

那須川天心が“KOできない”批判に本音「掌を返すならいまだぞ、と」なぜ賛否両論を楽しめる? 世界王者・武居由樹との対戦は「いずれ必ず…」<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

7月4日の公開練習で汗を流す那須川天心。20日のプロボクシング4戦目でWBA世界バンタム級4位のジョナサン・ロドリゲスと対戦する

笑う那須川天心…賛否両論を楽しめる理由

 その言葉に、10年近く前の記憶が蘇ってきた。キックボクシングで42戦全勝というレコードを打ち立て、ボクシングに鳴り物入りで転向してきたことだけを捉えると、天心はまさに“神童”そのものだろう。だが、キックボクサーとしてのキャリアの途中までは、疑問符を投げかけられる時期もあったからだ。

 その疑問符は「本当に強いのか?」という言葉に集約される。新人時代から天心を追いかけていた筆者の耳にも、「本当に強い相手とは闘っていない」という冷ややかな声が聞こえてきたことがある。そんな評価も2016年12月、当時ムエタイのルンピニー・スタジアム認定スーパーフライ級王者だったワンチャローン・PKセンチャイジムをバックスピンキックでKOするという離れ業を演じた瞬間に劇的に変わった。

 キックボクシングの軽量級は昔も今もタイ人が強いといわれている。「ヒジあり」であればなおさらそうだ。「ワンチャローンは天心より階級が一つ下だった」という声もあるが、天心にとってもこの一戦はプロ入り後初のヒジありルールだったのだから、ハンディはイーブン以上だったといえる。

 現在の立場をキックボクサー時代に置き換えると、「ワンチャローン戦前」と位置づけることができるのではないか。世間の評価など、何かをきっかけに180度変わる。そのことを天心はキックボクサー時代の経験から身をもって知っている。賛否両論の状況をどう思うか問いかけると、天心は破顔した。

「そうじゃないと、楽しくないじゃないですか。耐性がついているんで、何を言われても全然平気です。表面上でいろいろ言っている人はこれから後悔することになるんじゃないですか。僕は言われても怒らないし、何とも思わない。でも『掌を返すならいまだぞ』と言ってあげたいですね(笑)」

 その発言を裏付けるように、世間の評価や期待度は徐々に変わりつつあるようだ。天心の階級であるバンタム級の世界王者が4名とも日本人選手であることも、おそらく無関係ではあるまい。

【次ページ】 “天心戦に意欲”武居由樹へのアンサー

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