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17歳で日本選手権優勝…“800mの怪物”落合晃の衝撃「一度も先頭譲らず」「勝っても地面を叩いて号泣」雨中の圧勝劇を振り返る 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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photograph byAsami Enomoto

posted2024/07/05 06:02

17歳で日本選手権優勝…“800mの怪物”落合晃の衝撃「一度も先頭譲らず」「勝っても地面を叩いて号泣」雨中の圧勝劇を振り返る<Number Web> photograph by Asami Enomoto

日本選手権の800mでシニア選手を抑えて圧勝した17歳の落合晃。パリ五輪参加標準記録を目指した果敢なアタックが印象的だった

 それでも専門誌などのインタビューでは「パリ五輪を狙いたい」と答えていた。4年後のロサンゼルス五輪の間違いなのではないか、と思わず目を疑ったほどだ。

 だが、その言葉は本気で発したものだった。今季の落合の成長率には驚くべきものがあった。

 4月のU20アジア選手権では、やはり先頭を明け渡すことなく、金メダルを獲得。その6日後、5月3日の静岡国際では、連戦の疲れをものともせず、シニアの選手を相手に勝利を収めた。

「(静岡国際には)強い選手が集まるので、日本選手権に合わせるためにチャレンジという意味で走りました。去年まではラスト300mで被せられてからは動かなかったんですけど、今回はラスト100mで切り替えられる余裕度があった」

 このように手応えを口にした一方で反省点をも見出していた。

「自分の持ち味である積極的なレースは変えずに、ラストのキレをもっと磨かないと、これ以上のタイムは出ないのかなと思う」

 自己記録を1秒以上更新し、従来の高校記録・U20日本記録をも上回って1分46秒54まで記録を伸ばしたものの、目標とするタイムまではまだ約2秒の開きがあった。

 その後はインターハイ近畿予選などを経て、6月末の日本選手権に臨んだ。

日本選手権では予選からいきなり好記録

 日本一を決める舞台で、落合は予選から絶好調だった。

「まずはしっかり予選を突破することが一番の目標。タイムはおのずと付いてくるというか、狙っていたわけではなかった」

 レース後にこう話していたが、日本記録に0秒07まで迫る1分45秒82の好記録をいきなりマークしたのだ(もちろんU20日本新記録、さらに大会新記録だった)。

 それでも本人は冷静にこの記録を受け止めていた。

「パリの参加標準記録をターゲットにしているので、1分45秒台は出てもおかしくはない。(予選は)明日絶対に1分44秒を出すための準備。入りの部分、後半のスパート、コーナリングなど、まだまだ改善できるところはある」

 高校生らしからぬ、はっきりとした物言いで落合がこう話すからには、いやがうえにも翌日の決勝には期待が高まった。

【次ページ】 世界と距離がある中距離種目…若手の台頭に期待

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