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「ケガだけが心配」の声も…DeNAオースティンが全力プレーをやめない深いワケ 本人が明かす「監督に胸ぐらを掴まれた日」「甲子園が大好きなんだ」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2024/07/01 11:03
日々、ユニフォームを泥だらけにしながらプレーするオースティン。ジャッジとも切磋琢磨したバリバリのメジャーリーガーはなぜ全力プレーを続けるのか
「やはり最初は父親の存在だね。幼少期から『ハードにハッスルしてプレーしなさい』って言われてきたんだ」
全力疾走しなかったら、もう二度と使わないぞ!
そしてもうひとつ、プロとなりルーキーリーグの最初の試合のことをオースティンは教えてくれた。
「初打席でサードにファールフライを上げてしまったんだけど、そのとき僕は『もうプロ野球選手だから全力で走らなくていい』と考えてしまいファーストにジョギングしたんだよ。で、ベンチに戻ったら、監督に胸倉を掴まれて『全力疾走しなかったら、もう二度と使わないぞ!』ってものすごい剣幕で怒られたんだ。それからは心を入れ替えて、どんなときでも全力プレーするようになったんだ。当時の監督とは今でも親交があるんだけど、このあいだのオフシーズンにも会って『今の自分のメンタルを育ててくれてありがとう』って改めて感謝の気持ちを伝えたんだ」
プロフェッショナルとはなにか。抗いきれないパッションが体を動かす以上、もはや仕方のないことかもしれない。ただ、これまで痛い経験をし、野球そのものがプレーできない状況に苦しんだこともある以上、バランスをもって対応していってほしいと願うしかない。
ボクも高校球児のようにプレーし続けたい
とにかく自分らしいプレーを見せてください、と伝えると、「イエス」と言いつつ、オースティンは思い出したように甲子園大会のことを話し出した。
「じつは甲子園が好きで、時間があれば見ているんだけど、僅差のゲームであろうが、10対0で負けていようが、高校生たちは9回最後の1球まで、すべてを懸けてハードプレーをしている。この瞬間すべてが終わるかのように。そういう野球を見るのが本当に大好きだし、心を揺さぶられる瞬間なんだ。だから僕も、そういった野球をできる限りつづけていきたいと思っているんだ」
「フフフ」とクールな笑みを見せながらオースティンは言った。若い人から真摯に学ぶことのできる大人は清々しい。失礼を承知で言わせてもらえば、きっとオースティン自身が“永遠のベースボールキッズ”なのだろう。さあ、今日も激しく一生懸命に、勝利のため野球をエンジョイしよう――。