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「ケガだけが心配」の声も…DeNAオースティンが全力プレーをやめない深いワケ 本人が明かす「監督に胸ぐらを掴まれた日」「甲子園が大好きなんだ」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2024/07/01 11:03
日々、ユニフォームを泥だらけにしながらプレーするオースティン。ジャッジとも切磋琢磨したバリバリのメジャーリーガーはなぜ全力プレーを続けるのか
「まあ、もうベテランの立場だから若手選手を気にかけるようにしているだけなんだ。自分に話しかけやすい環境作りを意識してコミュニケーションをとってきて、最近は野球のことはもちろん、それ以外のことも訊きにきてくれるようになったよ。若い選手が一軍の舞台で萎縮することなく伸び伸びとプレーできることのが、チームにとっても理想だからね」
この人間とチームに目を向けたビッグハート。オースティン自身、ハイスクールを卒業し、19歳でプロとなり歩んできた道のりがあるだけに、若手選手の頑張りには必然的に手を貸したくなる。
「僕も、マイナーから上へチャレンジしているティーンエイジャーのとき、コーチやチームメイトに支えられた経験があるし、そういう出会いには今でも感謝しているんだよ」
オースティンがティーンエイジャーだったとき
そう言うとオースティンは、ニューヨーク・ヤンキースからドラフト指名された当時のエピソードを教えてくれた。
「ヤンキースの育成方針は、マイナーレベルであっても“勝利”や“優勝”だったんだ。そういったことが優先されるチームで育つことができたのは、自分の野球人生にとって大きかったと思う。あと、勝利至上主義のカルチャーであっても、監督やコーチは『どんなときでもなにかあったら話に来ていいぞ』といったオープンなポリシーがあって、そのバランスが今の自分の土台になっているんだ」
オースティンというベースボール・プレイヤーを作り上げてきた正体が、おぼろげながら浮かび上がる。
好成績も「まだしっくりとは来ていない」
さて今季、DeNAは勝率5割前後を行き来しながら、混戦状況になっているペナントレースから抜け出すことを虎視眈々と狙っている。
「チームとしてはまだまだ改善できる点はあると思うから、流れをいい方向に変えて勝利を重ねて行けば、絶対にチャンスはあると思う」
真っすぐな目でオースティンは言った。自分自身、これだけの成績を残していても、まだまだブラッシュアップの余地はあるという。