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戦力外通告に「やっとか…」大谷翔平の“ドラ4同期”はなぜ野球を続けなかった? 宇佐美塁大29歳が明かす「大谷世代」引退後の意外な現在
posted2024/06/28 11:02
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
NumberWeb
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鳴物入りで日本ハムに入団した大谷は、野手としてプロ1年目からシーズン開幕戦にスタメン出場。投手としても5月の交流戦で初登板するなど、二刀流の活躍で好調なスタートを切っていた。一方で、まずは体作りと二軍での出場経験を積むことからスタートした宇佐美さんは“プロの壁”に圧倒されていた。
「高校で一番だと思ってやってきて、プロに入った時に初めて自分より実力が遥かに上の選手に出会って圧倒されてしまった。自分を見失った感じはありました。まず打撃練習で打球が前に飛ばないんです。キャンプの段階でバッティングピッチャーの球を前に飛ばせなかったらもう、話にならないです。自分が今までやってきたことでは結果に結びつかないのだから、何かを変えないといけない。それもどうしたらいいのか……」
打撃よりさらに苦しかったのは守備だ。1年目に右肘を痛めた宇佐美さんは、肘を気にするあまり、思うようなスローイングができなくなっていた。
「いわゆるイップスみたいな感じです。怪我してからは思い切り投げることができず、合わせるように投げていたんです。当然精度は悪くなって、そこからは投げること自体が怖くなってしまった。今まで出来ていたことが全く出来なくなってしまって、自分で自分がわからない。そんな感覚でした」
誰にも相談できなかった“スローイング”の不安
当時の日本ハムは、プロ1、2年目の若手選手は全員、ファームで一定の出場機会が与えられていた。三塁手だった宇佐美さんは、プロ2年目の2014年にイースタン・リーグの108試合全てに出場した。貴重な実戦の機会ではあったが、それは同時に、来る日も来る日もスローイングと失策の不安にさらされる時間でもあった。
「どれだけエラーしてもフル出場。投げているピッチャーは迷惑ですよね。試合にならないですから。僕がサード、1年先輩の(松本)剛さんがショート、森本(龍弥)がセカンド。3人で凄い数のエラーをして、多分イースタン・リーグのワースト記録を作ったと思います。毎日試合後に3人でノックを受けて……本当に苦労しました」
この年、宇佐美さんの失策数は41。松本と森本と3人合計で90失策を記録し、日本ハムはイースタン・リーグ最下位だった。苦しい胸の内は、誰にも相談できなかった。もちろん、同期入団の大谷にも。
「スローイングに関しては相談したことはないです。当時は人に言えるような感じじゃなかった。悩みって本当に辛い時は隠したいものだと思う。ある程度人に言えるようになったら解決に向かっているっていう傾向なんじゃないですかね……」