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大谷翔平、ジャッジも使用「あの黒いバット」の正体は? 日本の担当者に聞いた、愛される特徴&大谷効果「日本で使用する選手が倍増しました」
posted2024/06/21 11:03
text by
内田勝治Katsuharu Uchida
photograph by
Nanae Suzuki(L)/Getty Images(R)
ホームラン王たちが愛用するバット
大谷翔平がエンゼルス最終年の2023年からバットを変更し、日本選手初のメジャー本塁打王になったことは記憶に新しい。ドジャースへと移籍した2024年も引き続き使用し、快音を響かせている。
米国に拠点を置く「チャンドラー・バッツ(Chandler Bats)」(以下チャンドラー社)が制作するバットは、2022年ア・リーグ本塁打王のアーロン・ジャッジ(ヤンキース)や、2015年ナ・リーグ本塁打王で13年連続2桁本塁打をマークしているブライス・ハーパー(フィリーズ)ら、多数のメジャーリーガーが使用しているが、日本では馴染みが薄かった。
しかし昨春、大谷が侍ジャパンの一員として、WBC強化試合の阪神戦で見せた衝撃の一発で状況は一変した。才木浩人のフォークにバランスを崩され、左膝をつきながらも、最後は右手一本で京セラドーム大阪のバックスクリーンまで運んだ。一閃した漆黒のバットに輝く「C」の見慣れないロゴをネットで検索した野球ファンも多いはずだ。
日本の代理店社長は中学野球チームの監督
そうして一躍有名になったチャンドラー社のバットについて、日本の代理店社長・宇野誠一さんがその特徴を語ってくれた。
「塗装技術が高いのか、第一印象は『綺麗だな』と思いました。飾っておきたいような雰囲気のバットです。ハードメープルという素材を使っているのですが、チャンドラー社のメープルは特に硬いと言われています。
ユニフォーム姿でバットとの出会いをそう説明する宇野さんは中学硬式野球のチーム「市川リトルシニア」(千葉県市川市)を率いる監督という顔も持つ。
すべてのはじまりはマーティンだった
高校時代に桐蔭学園(神奈川)で同期の関川浩一さん(元阪神など)らとプレーしてきた宇野さん。獨協大では3年時に副将、4年時に主将を務め、社会人野球のリクルートなどを経て、2015年に個人事業主として独立した。その後、レオネス・マーティン(元ロッテ)の共通の知人から「チャンドラーのバットを使いたいけれど、日本では認可されていない」との話を聞き、2021年に株式会社エスアールエスを設立。チャンドラー社の日本代理店となり、同年にNPBでの使用認可を取得した。