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進取の将棋BACK NUMBER
羽生善治53歳は藤井聡太21歳に指名されたけど…「絶対的エース」「苦手なものがない」中村太地36歳が知る“佐々木大地&渡辺和史の魅力”
text by
中村太地Taichi Nakamura
photograph byNumberWeb
posted2024/06/08 17:01
チーム中村のエース格・佐々木大地七段はタイトル戦で二度、藤井聡太八冠と戦ったとともに、2022年の人間将棋で相まみえたことも
理由は、私にとって1人だけの弟弟子で選びやすいし……というのは今思えば、彼に失礼だったなと反省していますが(笑)、広瀬九段が2巡目指名で杉本五段を指名したんですよね。
考えてみれば納得なのですが、杉本五段は広瀬九段にとてもかわいがってもらっているんです。将棋ファンの中でも、永瀬九段と言えば指名するのは増田七段、というのはもうお馴染みかと思います。ただそういった「棋士同士の交流と関係性」については、画面には映らない部分でも数多くあると知ってもらえる一環になっているのではないか――と思います。
大地七段は人間性、棋力ともに一目置いている
ドラフトを終えての感想は……きっと、プロ野球のドラフト会議もこのような感じなのだろうなと思いを馳せました。しかもプロ野球の場合はドラフト3位以降の指名、さらには育成ドラフトまであります。〈あっ、この選手を先に指名された!〉という心境は、こんなに複雑なものなのかとも。もしアベトナが5人1組の団体戦だったら、ドラフト会議だけで私の悩みはさらに大きくなったかもしれません(笑)。
私が指名した2人の棋士についても触れられればと。まず佐々木大地七段との接点についてです。昨年はチーム山崎でチームメートだったのと同時に、将棋連盟のフットサル部で一緒にやっていた時期が長かったんです。若い頃から人柄が抜群で、気遣いもできて、社交的という印象を持っていました。
もちろん棋士としても、彼には一目置いています。
もともと実力のある棋士だなと私自身は感じていましたし、2023年に棋聖戦、王位戦と2回連続でのタイトル挑戦権を獲得したのが印象深かった。藤井八冠からの奪取こそなりませんでしたが、対局ごとに見ていくとどの棋士と対局しても安定した勝ち方ができるし、粘り強さを持っている。それがチーム戦を戦う上で心強く、勇気を与えてくれる絶対的なエースと思っています。
研究会をする間柄の和史七段は「苦手なものがない」
渡辺和史七段とは現在、研究会をする間柄です。その研究会はもともと、荻窪の将棋道場を使わせてもらっていたんですが、和史七段はずっとその道場に通われて育ってきました。それもあって顔を合わせる機会も多かったのですが、メンバーが入れ替わるタイミングで入ってくることになって以降の関係性です。
彼もまた素晴らしい人柄で、とにかく優しくて先輩を立ててくれる。とはいえ選んだ理由はそこだけではないです(笑)。